280/281パイプは長靴の胴へ、袋は行李の中へかくし、叉銃を解いて整列した。将校連はボタンをかけ、軍刀や背嚢をつけ、大きな声でどなりながら列の間を廻っている。輸卒や従卒は馬を車欄につけたり、行李を積みこんだり縛ったりしている。副官や、大隊長、連隊長は馬にまたがり、十字を切り、最後の命令や訓戒や、居残るべき輜重兵に対する事務を授けている。やがて、数千人の単調な足音が響きだした。縦隊は四方に立ち重なる兵卒や、煙や、しだいに濃くなりまさる霧のために、出てきた場所もこれから踏みこもうという道も見分け得ず、どこへ行くかも。知らないで動いて行くのであった。 (行軍中の兵士は船中の水夫の如く、常に自分の連…