将棋棋士(故人)。1910年生まれ。戦前からプロ棋士として活躍し1949年に現役を引退。1957年から60年および1973年には日本将棋連盟会長を務め、1978年に名誉九段を贈呈される。1996年逝去。
著書『将棋は歩から』(全3巻)は将棋のなんたるかを知るための名著とされている。
囲碁・将棋といった習い事は、だれから教わってもいい。どう教わってもいい。教わるからには、ただひたすら熱心でなければならない。熱心さが足りなければ、一生ヘボで了る。身に浸みて自覚している。 政財界人や富裕層や大新聞社がこぞって、日本棋院や日本将棋連盟に肩入れするのを視て、その分野にご関心ないかたは首を傾げるかもしれない。囲碁・将棋には大人の芸事という側面がある。たんなる勝負遊び・道楽ではない。昔は「男の習い事」と云った。女性が茶道華道や舞踊音曲の稽古に励むのと同列である。 競技としての面白さがふんだんにある麻雀と異なるのは、偶然つまりツキの要素が全くない点だ。強い者にはけっして勝てない。五十年も…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 61.薄闇のあなたの底へ降りてゆくわれは言葉の梯子をかけて (加藤治郎) 砂子屋書房「一首鑑賞」で大松達知が紹介していた歌です。 sunagoya.com 「薄闇のあなたの底」という言葉からは男女の営みが(まあ別に「男女」じゃなくてもいいんですが、要は性的なつながりが)連想されますが、「言葉の梯子」という下の句にやられました。ノンバーバルコミュニケーションじゃなく、「言葉」で「あなたの底へ」降りるのか。これはときめきますね。 「薄闇のあなたの底」はもしかしたらそういう意味ではなくて単に「あなたの心の奥底の暗い部分」とい…
『短歌パラダイス』感想の注意書きおよび歌合一日目、二日目のルールはこちらです。 yuifall.hatenablog.com 九番勝負は「邪」です。邪!どこからこんな言葉思いつくのだろうか。 洗われて手にひえている精巣をすべて無邪気な季節のために (一郎次郎) スプーンで蛍をつぶしてゐた記憶「邪慳ぢやなか」と呟きながら (七福猫) 蜘蛛のごときバイクが好きな祖父なりき「いまはむかしの風邪(ふうじゃ)の夏じゃ」 (ぐるぐる) 洗われて手にひえている精巣をすべて無邪気な季節のために (一郎次郎) 「一郎次郎」の歌の、この「精巣」は白子みたいな感じのやつかな?魚とか動物とか、とにかく食べるために洗っ…
『短歌パラダイス』感想の注意書きおよび歌合一日目、二日目のルールはこちらです。 yuifall.hatenablog.com 五番勝負は「一郎」です。この頃、小沢一郎とオリックスのイチローが時の人であったとか…。2021年現在、小沢一郎は衆議院選挙の小選挙区で敗北し、イチローは大リーグで活躍後引退しているので隔世の感があります。 こぽこんと一郎さんが靴の砂はらっていますたぶん海ですね (一郎次郎) 政変未遂とあの日の合歓とイチローの打球の軌跡まなうらに棲む (七福猫) 洋一郎の名をつぶやけば風は何処へ 祖父の帽子からきみの帽子へ (ぐるぐる) こぽこんと一郎さんが靴の砂はらっていますたぶん海で…
『短歌パラダイス』感想の注意書きおよび歌合一日目、二日目のルールはこちらです。 yuifall.hatenablog.com 最後の10番目は「並」です。「なみ」という読み方に限定されており、「へい」も「ならぶ」もNGとのことです。 時計仕掛けの絵本をよめばすずかけの並木を抜けてまた出会う導師(グル) (加藤治郎) 民族よ 寄するおもひは冷えながら並木に生るる花のしづけさ (岡井隆) 加藤の歌は、1995年の地下鉄サリン事件を受けての「導師」なんだろうなと思いますが、全体の意味を取るのが難しい…。 なんか、どうしても「導師」に象徴される何か、現代日本のようなものを言っているのかなって連想してし…
8月17日の毎日新聞朝刊「毎日歌壇 加藤治郎・選」に掲載されました。加藤さんから評もいただいています。どうもありがとうございます。
北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 加藤治郎④ たぶんゆめのレプリカだから水滴のいっぱいついた棘草を抱く この歌すごく好きなんですが解釈できない…。すごく好きだけど分からない歌大量にあって、そういう時って語彙力が死にます…。「棘草」ってトゲトゲの痛い植物だけど、「ゆめのレプリカ」だから抱いても痛くないだろう、ってことなのかなぁ。でもなんで「ゆめ」じゃなくて「ゆめのレプリカ」なんだろう…。 そして「レプリカ」っていうと森博嗣の『夏のレプリカ』がどうしても思い浮かんでしまってそこから離れられない…。坂井修一の「タカアシガニ」並みの…
北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 加藤治郎③ よくわかる夢中になっているのがさ ひきよせてやる夜のひまわり わが岸にほそいカヌーが滑りこむしずかに水の皮膚をはがして ロマンチック短歌続きです。前回同様、なんとなくセクシーなんだけど透明感があって明るいですよね。「夜のひまわり」は首を垂れているので、おそらく彼女が自分の上に乗っていて、俯いていて髪の毛が垂れているのかなって想像しました。「ひきよせて」キスするとこなのかな。 「岸」「ほそいカヌー」「水の皮膚」は何のメタファーなんだろう。この歌は女性の作品と言われても納得してしまい…
北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 加藤治郎② 歯にあたるペコちゃんキャンデーからころとピアノの上でしようじゃないか 『短歌タイムカプセル』の時にもこの人のセックスの歌をいくつか紹介したのですが、どれも軽やかで楽しそうで明るくて好きだな。この歌とかすごい好き。この歌を題材に二次小説を書いたことあるくらい好きです(笑)。 まあ、何をするとは書いてませんが(笑)。ピアノの上でね…。Gleeのキャラはよくピアノの上に乗って歌ったり踊ったりしてたな…。 ペコちゃんキャンディーの柄を持ってくるくる回しながら、ピアノの上で何かするって言っ…
北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 加藤治郎 ぼくたちは勝手に育ったさ 制服にセメントの粉すりつけながら この人とか千葉聡の口語短歌が当時好きだったな。これとかすごい青春っぽい! ひとしきりノルウェーの樹の香りあれベッドに足を垂れて ぼくたち これは、ビートルズの”Norwegian Wood”とか村上春樹の『ノルウェイの森』となんか関係あるのかなー。同世代? しかしあの小説昔読んだときはどこがいいのか分らんかった…。もうすでにほとんど忘れてますけど、今読むと何か違うんだろうか…。でも多分読まないな…。名作という他者からの評価…
どうもstsです。 今回も前回に引き続き名人戦黎明期を振り返っていきます。 第1期は様々な出来事が起こった中、リーグ戦を制した木村八段が初代名人に就き、第2期では関根十三世名人時代の実力No.1の土居八段、第3期では関西で実力トップの神田八段を破り、木村名人が3連覇を果たしていました。今期は第4期と第5期を振り返ります。 さて、過去の名人戦一覧を見ると、第4期と第5期の挑戦者のところを見てみると「挑戦資格者なし」となっていたり、空欄になっていたりします。実際に日本将棋連盟のホームページ、名人戦の「過去の結果」の欄を見ると空欄になっています。 なぜ第4期と第5期の名人戦は挑戦資格者がなしとなった…
加藤治郎氏に誘われて2003年6月に入会した未来短歌会を、次の会費切れとなる2024年5月末をもって退会することにしました。当の加藤治郎氏による、様々なセクシャル/パワー/モラル・ハラスメントに対し、ハラスメント被害者の回復と今後の防止に向けた自浄作用の一部となるよう、未来短歌会の会員のひとりとして微力ながら可能な行動に努めてきたつもりです。【ひとつの決着】加藤治郎さん、あなたは文章が読めない(19)Aさんのこと - Starving Stargazer!にAさんが記した、未来短歌会ハラスメント委員会から加藤治郎氏への厳重注意を受けて、私の役割を終えたものと判断し、退会を決意しました。 入会以…
note.com加藤治郎氏(以下敬称略)による上述のnoteが、従前とは別のnoteアカウントにより記されていることを承知したのは11月9日夜であった。いずれにせよ、従前と変わらず、問題の把握と認識に乏しく、Aさんや私、短歌界隈への謝罪を欠いた文章であったことから本記事を記す。 加藤による記事の、当ブログへの転載は、ブログの改変を防ぐためにやむを得ず行ったものであり、本意ではない。 yukashima.hatenablog.com 「しかし、Aさんのことで袂を分かった。」 否である。私は加藤による2019年2月のミューズ発言に対して「未来への出詠を行わない」と同年3月に宣言を行った。これは、2…
加藤治郎氏(以下敬称略)が当方に対して〈新しいnote〉で記事を書いておられるのを確認した。従前のnoteにアクセスできなくなったのか、心機一転したくなったのかは存じ上げないが、スクリーンショット的に、これまで加藤が当方に言及する形でnoteで書いてきた文言を記録しておく。これは、当方が望むことではないが、記事の改変を防ぐためのやむを得ない措置でありURLは示す。コピペにあたって可読性向上のための微修正(noteのスキ数の削除、氏名の重複回避)は施しているが、本文に文言の相違があったとしたら、それは当方の責ではなく加藤の修正によるものである。下記についてはすべてすでに応答済みであり、言及未了の…
暴露するだけが正義じゃないからさ3分経ってすするヌードル 毎日新聞・毎日歌壇 2023/10/23 加藤治郎氏選 ニ席にて掲載していただきました。 たぶん今年に入って初めて書けた歌でした。選評もいただけて嬉しかったです、ありがとうございます。
(2023/12/12 22時に記事を復元しました)みなさま、お疲れ様です。ここから次の見出しまでは2019年11月27日付本ブログ記事で#MeTooを発したAさんと中島によるご報告となります。中島がAさんからの要望をもとに記事草案を書き起こし、Aさんによる確認後にこの記事を公開します。 Aさんによる#MeToo の告発結果について 2019年11月27日付の本ブログ記事「【本編】加藤治郎さん、あなたは文章が読めない(3)加藤治郎さんに対する #MeToo (1) - Starving Stargazer!」*1により、未来短歌会の選者である加藤治郎氏(以下敬称略)から、同会会員であった私(A…
ここのところ本を読みすぎてなんの本を読んだのか、まだ記事を書いていない本はどれかを忘れそうになっているので、備忘のため書き出します(太字はブログに書いたもの)。 〈歌集〉 土岐友浩『僕はいくよ』 永井祐『広い世界と2や8や7』 川野芽生『Lilith』 我妻俊樹『カメラは光ることをやめて触った』 穂村弘『ラインマーカーズ』 魚村晋太郎『銀耳』 飯田有子『林檎貫通式』 奥田亡羊『男歌男』 永田和宏『午後の庭』 工藤吉生『世界で一番すばらしい俺』 大森静佳『てのひらを燃やす』 永井亘『空間における殺人の再現』 山崎聡子『てのひらの花火』 北山あさひ『崖にて』 正岡豊『四月の魚』 雪舟えま『たんぽる…
書きたいほう 昨日9月22日、朝から息子が通う保育園の親子遠足に行っていました。遠足から帰宅したら、息子とシャワーをさっと浴びて、着替えて……とは順調に行きませんでした。前日までは息子も授賞式を楽しみにしてくれていたのですが、遠足で疲れたのか「パパと行きたくない、家にいたい、着替えたくない」と訴えていました。息子に申し訳ないな、と思いつつ、今から誰かに預かってもらうわけにもいかないので、なだめて、ブラジルの友人にもらったチョコを食べてもらって、無理やり着替えさせえて、タクシーに乗ってもらって授賞式の会場へ向かいました。 息子は高いビルの階数を外から数えるのが好きで、講談社の道向い側でタクシーを…
ご無沙汰しております。2019年11月26日~12月27日までの間に標記シリーズを掲載いたしました。シリーズとしては一旦終了したのですが、その後の出来事を簡単に報告・情報共有をいたします(以下、敬称略)。yukashima.hatenablog.com yukashima.hatenablog.com
2015年4月、双風舎から刊行された中澤系の歌集。雁書館版の増補。造本・組版は米村緑。 目次 Ⅰ 糖衣(シュガーコート)1998 1999 Ⅱ 2000 2001 Ⅲ 1997 1998 編集後記(雁書館版)さいかち真 解説(雁書館版) 中澤系さんの歌集のために 岡井隆 栞(雁書館版) 未来の声 穂村弘 utaのために 加藤治郎 焦燥感に満ちた口語歌 佐伯裕子 新刻版 相補 解説 甘受する生活が、来た 斉藤斎藤 特別寄稿 告知される「蝕の時代」の始まりと、遠き未来の「新生」 宮台真司 兄・中澤系の思い出 中澤瓈光 新刻版刊行に際して 中澤瓈光 関連リンク金沢町在住中澤瓈光さん 亡き兄の歌 新刻…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 147.突風に生卵割れ、かつてかく撃ちぬかれたる兵士の眼 (塚本邦雄) この歌のことを何のきっかけで知ったのかは思い出せません。でも、最近色々考えたので引用してみました。 「読み」に関しては、単純に読むのはそれほど難しくないと思います。 突風に生卵が割れる→黄身が潰れ、白身と交じり合った状態で殻からでろりと流出する という現象と、 かつて戦場で兵士が撃たれ、その眼が撃ち抜かれた→おそらくは脳を貫通し、脳実質などの組織と髄液が交じり合って頭蓋からでろりと流出する という現象が二重写しになって提示されます。 生卵が「突風」…
テキスト読みとエピソード読み。文学教材の理解に至る通路としてどちらを取るかは考えどころである。もちろん、どちらかだけを採用することはあり得ない。作品に応じて、両者のバランスを取りながらアプローチしていくのが、教室での普通のやり方である。しかし、僕はほとんどの場合テキスト読みに重点を置きながら授業を進めるよう心掛けている。というのは、まずは作品そのものと向き合わねば話にならないからだが、実際のことろ、特に短歌・俳句の鑑賞のような授業の場合、生徒はともすれば周辺情報の収集に頼りがちな傾向があるように思われてならないのだ。インターネットの活用によって膨大な情報へのアクセスが可能になったが、その情報が…
news.yahoo.co.jp 藤井聡太竜王・名人と羽生善治九段が、第71期王座戦の挑戦者決定トーナメント準決勝で対戦しました。藤井は「八冠制覇」、羽生はタイトル獲得「100期」に向けて、ともに夢をつなぐ大一番でした。 王座戦は1952年に創設され、70年もの長い歴史があります。加藤治郎名誉九段の著書『昭和のコマおと』によると、王座戦は「民主的棋戦」として創設されました。 この記事では、田丸昇九段が、王座戦の歴史、羽生の王座戦での抜群の実績、新旧の七冠対決となった藤井-羽生戦の激闘について解説しています。