今月の最後、納涼歌舞伎第一部を観劇。狂言立てとしては今月三部の中で一番地味な印象だが、一番本寸法な歌舞伎が上演されている部でもある。入りも他の部同様ほぼ満席の状態。筆者的にはこの部が今月一番の楽しみであったが、二つの狂言ともその期待を裏切らない見事な出来であった。橋之助が芝翫を襲名するタイミングで納涼歌舞伎を卒業して以降、休業中の猿之助と共に八月の歌舞伎座を支えて来た幸四郎が今年は一歩引いている印象で、演目のポスターにも登場していない。配役のトップに名前が来ているのはこの部の舞踊のみだ。もしかしたら幸四郎は、今年でこの納涼歌舞伎を卒業するのではないか。ふとそんな事を考えさせられた今月の座組であ…