神野直彦『財政学』(31) 今回は、第13章 人税の仕組みと実態 のうち、「所得源泉説」と「包括的所得概念」(p.188~)をとりあげる。 「所得税」といえば、多くの人は「給与所得」に対して課される税金を思い浮かべるだろうが、「給与所得」の他にもいろいろな所得に課される税金がある。具体的には、個人事業主の所得、預金利子、株式等の譲渡・配当、アパートの賃貸収入、土地や建物の売却、年金、退職金、相続などである(詳細は別途とりあげる)。 所得税はこのような所得に課される税金だが、では、「所得」とは何だろうか?(「所得」の定義は?) 平均貯蓄額と平均年収/内閣府統計局の『家計調査(2019年度)』 h…