新刊でも古書でも、かつては書店主が書いたエッセイをかなり読んでいたが、最近はすっかりご無沙汰している。最後に読んだのは、『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(北尾トロ、風塵社 、2000)だと思うから、もう20年以上読んでいないことになる。ただ、神田神保町にあったアジア文庫店主の大野信一さんが書いた『アジア文庫から』(アジア文庫の会、2010)は、私が編者のひとりだから、これは例外だ。 久しぶりに読んだ本屋のエッセイは、スコットランドの古書店主が書いた『ブックセラーズ・ダイアリー』(ショーン・バイセル、矢倉尚子訳、白水社、2021)だ。これが、じつにおもしろかった。著者の毒舌と皮肉はジョン・…