鳥羽一郎の「兄弟船」には、人々に歌われることがなかった、もうひとつの「兄弟船」がある。 はるか国後 船から見える 今日も兄貴と 網を引く 男の夢を かけてる海に 誰がつくった 国境線を 島におやじもヨー 帰りたいだろな 作詞したのは札幌市在住の木村まさゆきさん、78歳である。 1981年(昭和56年)に北海道日刊スポーツ新聞社とクラウンレコード(現日本クラウン)が企画した「北海道のうた歌詞募集」で佳作に入ったのが「兄弟船」だった。 釧路市生まれの木村さんは高校卒業後、1961年(昭和36年)に上京。会社勤めをしながら雑誌「歌謡ロマン」などに自作の詞を投稿していた。19歳の時に作った「すずらんの…