【あらすじ&ひとりごと】 今回読んだのは、北沢陶さんのホラー小説『をんごく』(2023) 死を受け入れられない人間の未練や執着が形を持ち、それが残っていることによって霊でも生者でもない”境界の存在”として現れたもの、「をんごく」。人間の欲と業の物語です。 大正時代末期の大阪・船場。 古瀬壮一郎は、老舗呉服屋の長男として生まれるが、姉の婿が店を継ぐことで、東京の美術学校を卒業し、画家として気楽な生活をしていた。 卒業後も大阪に身の置き所がない壮一郎は、東京に留まっていたところに義兄から見合いの話がくる。 結婚し一年が過ぎたとき、関東大震災に遭い、被災して大阪に戻ってくるが、そのときの怪我が原因で…