毎日寒いこの頃です。寒さで総毛だっているわけではなく、トロール人形というらしいです。はだかんぼうでは寒そうです。「一茶さん、ご紹介しますよ、鈴木牧之(ぼくし)さんです。越後塩沢のかたでね、俳人ですよ」三七、八というところか、屈強の男で、律儀そうな眉だった。縮みの仲買人です、と自己紹介する声音と言葉は、一茶の耳にしたしい越後訛りである。名字帯刀を許された家柄だというが、絵も描き、詩作もし、俳諧にも親しむ。「実はもうここ七、八年ばかり著述を続けております」「京伝先生、一九先生、馬琴先生にもお願いしているのですが、皆さんそれぞれにお忙しくて…」いつかは世に出したい。しかし江戸の出版業界は動いてくれな…