1960年発表の本書は、エリス・ピーターズのクリスマスミステリー。作者は英国ミステリー界では「修道士カドフェルもの」などで有名とのことだが、これまで手に入っていない。以前シャーロット・マクラウド編のアンソロジー「サンタクロースにご用心」に1作を書き下ろしで掲載しているのを読んだだけだ。 作者はもともと歴史作家、ミステリー作家としては本書が第二作にあたる。いくつか本格ものを書いた後、1977年に「聖女の遺骨求む」から20冊を数える歴史推理カドフェルものでミステリー史に名を遺した。 ウイーンで最後の公演を終えた後、オペラの歌姫アントニアは70余年の生涯を終えようとしていた。臨終には、姪とその息子、…