中世、西欧のキリスト教諸侯が、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還することを目的に派遣した遠征軍。
1095年に東ローマ帝国がセルジューク朝にアナトリア半島を占領され、時の皇帝アレクシオス1世コムネノスが、ローマ教皇に救援を依頼し、
ローマ教皇ウルバヌス2世がクレルモン公会議で提唱したことが始まり。
1270年にフランスのルイ9世の遠征まで8回*1の遠征が行われた。
一時はエルサレムを奪還し、エルサレム王国を建国するなど成功した面もあったが、
アイユーブ朝のサラディンらイスラーム勢力に敗れ、最終的には失敗に終わった。
このため、十字軍を提唱した教皇の権威は失墜し、王権が高まった。
当初はエルサレムなどの「聖地奪還」を掲げていたが、第四回十字軍ではヴェネツィアに唆され
東ローマ帝国を攻撃し、一時滅亡させるなど当初の大義に反した侵攻もあった。
2003年のイラク戦争において、アメリカのブッシュ大統領は、自軍を十字軍と表現したが、
イスラム諸国の顰蹙を買ったのは記憶に新しい。
これは、サラディンらイスラーム諸国が十字軍に対して比較的寛容な処遇をとった一方で、
十字軍がムスリムの弱者を蹂躙し、蛮行を数多く行った為である。
*1:その正当性をめぐって諸説あり、回数は各論によって異なる