新しい文庫本をカバンにしのばせた。 一冊分重くなったカバン。 友人との約束のように、常に頭の片隅の一角を占めている。 別の用でカバンを開けると背表紙と目が合った。 「読め」という無言の催促にたじろぐ。 「また今度」とこちらも無言で返してカバンを閉めた。 空きができたので文庫本を取り出した。 背表紙の角がよれていた。 取り出すと、一冊分軽くなった。 適当なところで切り上げて再び入れた。 一冊分重くなったカバンは肩に馴染んだ。 子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本 作者:フィリッパ・ペリー 日経BP Amazon 自宅でじっくり読もうと机に置いたまま数日が経った。 一冊分軽くなった…