ミステリ評論家。著作に「怪奇・幻想ミステリ150選」「水面の星座 水底の宝石」。
1970年北海道生まれ、立教大学卒業。 1995年「終わらない伝言ゲーム――ゴシック・ミステリの系譜」で第二回創元推理評論賞を受賞。 2004年「水面の星座 水底の宝石」で第四回本格ミステリ大賞評論・研究部門を受賞。
涙と笑いのミステリー (絶対名作! 十代のためのベスト・ショート・ミステリー)作者:宮部みゆき,光原百合,阿津川辰海汐文社Amazon 収録作は以下。 宮部みゆき「サボテンの花」 光原百合「橋を渡るとき」 阿津川辰海「六人の熱狂する日本人」 このシリーズの締めくくりとして、「涙と笑い」をテーマにしてくるのは納得。 純粋な論理や謎解きもいいけれど、やはり入り口としたいアンソロジー(しかも学生向け)を 編むならば、こういう感情に直接アクセス出来るような作品も必要だろう。 中でも、宮部作品はもう現時点でも、新しい「古典」としての地位を しっかりと確立しているとも思える逸品。 ミステリ短編の傑作を選ぶ…
異界のミステリー (絶対名作! 十代のためのベスト・ショート・ミステリー)作者:山白朝子,近藤史恵,皆川博子,竹本健治汐文社Amazon 収録作は以下。 山白朝子(乙一の別名義)「世界で一番、みじかい小説」 近藤史恵「水に集う」 皆川博子「化鳥」 竹本健治「実験」 千街さんの解説は「特殊設定ミステリ」から始まってて、 一応それ「に限定せず、もっと広く捉えることにしました」と書かれてはいるが、 残念ながら特殊設定ミステリに分類出来そうな作品は一編も無い。 一見近藤作品はそれに分類してもいいかも、と思いそうにはなったものの、 あくまで探偵方法が特殊設定なだけで、特殊設定ミステリじゃないよなぁ。 全…
謎解きミステリー (絶対名作! 十代のためのベスト・ショート・ミステリー)作者:有栖川有栖,綾辻行人,道尾秀介汐文社Amazon 収録作は以下。 有栖川有栖「赤い稲妻」 綾辻行人「意外な犯人」 道尾秀介「流れ星のつくり方」 さぁ、この巻はいよいよ本命の本格編。 有栖も綾辻も、もっと別の作品があるようには思うけれど、 ショート・ミステリーという尺の問題があるだけに、 こういうセレクトになっちゃうのかな。 そのうちでも、有栖作品は構図としての美しさがあるだけに、 一歩抜きん出てるかな。 綾辻作品は一捻りはあるけれど、基本のネタの方が、 基本形を作るという意味合いがあるにせよ、わかりやすすぎるからな…
学園ミステリー (絶対名作! 十代のためのベスト・ショート・ミステリー)作者:恩田陸,米澤穂信,青崎有吾汐文社Amazon 収録作は以下。 恩田陸「水晶の夜、翡翠の朝」 米澤穂信「鏡には映らない」 青崎有吾「メロンソーダ・ファクトリー」 十代の読者を対象として、現役で活躍中の作家の作品に限定した選出基準。 定評ある古典ではなく、未来に「古典」と位置づけられるだろう傑作を選ぶ。 う~ん、羨ましいほど楽しそうな、選者冥利に尽きる企画だなぁ。 本来は本格ミステリから始めたいところだろうけど、 まずは十代にとって馴染み深い学園ミステリから。 どれも未来に「古典」と位置づけられるほどではないかなぁ。 米…
密室ミステリーアンソロジー『密室大全』 (朝日文庫)作者:青柳 碧人,恩田 陸,貴志 祐介,中山 七里,東川 篤哉朝日新聞出版Amazon 収録作は以下。 「密室龍宮城」青柳碧人 「佳也子の屋根に雪ふりつむ」大山誠一郎 「ある映画の記憶」恩田陸 「歪んだ箱」貴志祐介 「要介護探偵の冒険」中山七里 「霧ヶ峰涼の屋上密室」東川篤哉 「密室荘」麻耶雄嵩 「招き猫対密室」若竹七海 比較的新しめ('90年代後半以降)の作品から、 バラエティ感あるセレクトになってる気がする。 近年の密室アンソロジーだと、照れがあるかのように、 斜め視点から選んだような作品が多いのが特徴だが(特に評論家の選出だと) 比較的…