画像出典:いらすとや 今わたしの手元に薄い中学時代の卒業アルバムがある。それを開くと懐かしい。わたしにもこんな時代があったのだ、という思いが、それはしかし帰ることのない過去の事であるという二つの事実とが入り乱れて胸が押さえ付けられたような息苦しさを覚える。それは、実に切ない。 その心境は若山牧水の 「かたはらに 秋ぐさの花かたるらく ほろびしものは なつかしきかな」 歌の気持ちに似ている。古城を前にして詠んだ歌だが、それには「詫び」の世界があると思うから。 ■ アルバムの中の彼女 そして、クラスの集合写真の中の最後列にいる一人の女性徒を見る時、胸は高鳴る。ひそかに心寄せた色白で美しい女性徒であ…