船木拓生『侠気の生態学:牧野四子吉と文子の鮮やかな日々』(ぷねうま舎、令和3年4月)。たまたま読んだら面白かった。新刊だが、善行堂に置かれるべき一冊だろう。昭和4年牧野四子吉は、人妻文子*1と東京から京都へ駆け落ちする。東京では百瀬晋に兄事し、南天堂に出入りしていた。大杉栄、宮島資夫、辻潤、竹久夢二*2、『マヴォ』同人らと交流した。京都では北白川平井町*3に新居を建て、そこには四子吉が京都帝国大学動物学教室の嘱託(生物画担当)だった関係で、京大関係者を始め多彩な人達が集まるサロンになったという。今西錦司や森下正明らのポナペ島、大興安嶺探検の報告書の挿図は牧野が描くこととなる。出入りした「最年少…