ユルゲン・コッカが言うように、わたしたち庶民の暮らし向きと〈自由〉は、資本システム(資本制的生産様式)の発展と拡大を基盤として改善されてきた。たとえそれが、資本主義的発展の過程において徐々にしか実現されず、周知の通り、19~20世紀に繰り返した恐慌と戦争によって中断され、かつ諸戦争や独裁のなかで大量の強制労働によって繰り返し逆転されてきたとしても、昔の奴隷制や身分制の軛(くびき)から解放され、過酷で短命だった庶民の暮らし向きは改善され〈自由〉も拡大されたのである。 資本システム(資本制生産様式)は、経済のエンジンとしては、他のいかなる経済エンジン(旧・ソ連のような官僚計画経済を含む統制経済)よ…