本書は、2015年に単行本で出版されたものを、2021年に加筆されて新書版で再版されたもの。8,000億円近い赤字を出して「会社が無くなるかもしれない」との危機から、構造改革でV字回復を成し遂げたマネジメントのお話である。 といっても、本書は僕にとっては単なる経済学の参考書ではない。当時僕もこの企業にいて、改革を見ていた。川村隆社長兼会長が中西副社長に社長職を譲った後は、川村会長のカバン持ちで霞ヶ関等にでかけたことも多い。中西副社長始め、本書に出てくる5人の副社長が全員存じ上げていて、そのうちの3人は直接の上司だったことがある人だ。 現在も当時(2009年)と同じ32万人規模の従業員がいる日立…