原島鮮(著)「初等量子力学 」については、量子力学の入門書として名著の誉れ高い一冊であることは前々から承知していた。 しかし、既に書棚に並んではいるものの熟読には至っていない同分野に関する書籍も一冊ならずあるため、これまで手にすることはなかったのだが、破格と言ってもいい値で古書として出ているのを目にしたことから、これも何かの縁、見過ごすのも忍びない――と思って購入した。 現在、なかなかこの種の本に腰を据えて集中的に取り組むことができず、今般もざっくりと読んだだけではあるけれども、その簡単なインプレッションなどを述べてみようと思う。 書誌的には、初版の出たのが1972年で、その後版が重ねられ、1…