歌舞伎座昼の部、『上州土産百両首』以外の芝居について綴りたい。獅童によると、歌舞伎座で菊之助とがっつり組むのは初めてだったと云う。しかしぴったりイキの合った名舞台であったと思う。それに続いては『義経千本桜』から所作事「時鳥花有里」。「千本桜」の所作事と云えば、何と云っても「道行初音旅」が有名であるし、上演回数も多い。今回は寛政六年に上演されたものを元にして八年前に初演された狂言。その時は義経が梅玉で、切って嵌めた様なハマリ役であった。 今回の配役は又五郎の義経、染五郎の三郎、種之助の種吉、孝太郎・児太郎・米吉・左近の白拍子。今回で三度目の上演なので、全員初役である。義経に又五郎と云うのは、ニン…