「私、きれい?」 夕方の帰り道。 マスクをした女が、突然こちらを振り返る。 「きれい」と答える。 すると女は、ゆっくりマスクを外す。 耳元まで大きく裂けた口。 そして、こう聞いてくる。 「……これでも?」 今では誰もが知っている。 口裂け女。 日本を代表する都市伝説のひとつだ。 けれど、この話には少し不思議なところがある。 口裂け女が広まったのは、江戸時代でも明治時代でもない。 1970年代の日本だ。 しかも、一つの町だけで語られていた怪談が、短期間のうちに全国へ広がり、新聞などでも取り上げられるほどの社会現象になった。 では、口裂け女はどこからやってきたのか。 本当に「目撃事件」はあったのか…