二十年以上前のことだが、東海大落研OBで飲んでいると、春風亭昇太師匠が言った。 「今、うちの落研なんか、潰れそうなんだろう!お前、チョット見て来いよ!」 昔から、この手の現場仕事は、いつも私である。このパターンは四十年間変わっていない。 私は「しかたなく」いや!後輩たちの為に、四年生最後の高座「年忘れ落語会」を視察しに行った。学生のホール落語を観るのは十年ぶりぐらいだったと思う。 当然、何の期待もせず客席に腰を下ろした。落研なのだから細かいことは目をつぶって、どこか褒めるところを見つけて帰ろうと思っていた。 その時。高座に現れたのは二年生だった。「年忘れ落語会」は四年生追い出しの会。二年生が出…