鬼子母神に近い、南池袋にある古本屋。わめぞメンバー。店内は文学系を中心とした品揃えで、かなり広い。 古書現世、立石書店、旅猫雑貨店、リコシェなどと隔月に開催している「外市」の会場でもある。
東京都豊島区南池袋3丁目8-1ニックハイム南池袋1階
おおかたの露店は、撤収作業に入る。雑司ヶ谷鬼子母神さまご境内での「手づくり市」である。 夜半から早朝へかけて、時おり肌寒さをおぼえるほどの涼風が吹いた。だのにラジオでは、今日もきびしい残暑になると警戒を呼掛けている。ホントかいな、と思った。 陽が高くなるにしたがい、気温も湿度も急上昇し始めた。午前十時には、肌にベトッと来るような湿気をともなう猛残暑となった。濡らしたティッシュペイパーで口と鼻とを塞がれたような、息苦しさすら感じた。 それでも今日ばかりは出掛けてみよう、いやぜひとも出掛けたいとの思いがあった。古書往来座さんの店先で、中古の雑貨小物が展示即売されると聴いていた。おりしも同店からほど…
南千住の集文堂書店が、創業以来百二年にわたって提げてきた暖簾を、さきごろ降ろした。 全国展開する超大型書店が繁華街にビルを構え、大量情報の大量販売を競う時代がやって来て、すでに久しい。それら超大型店すらが、紙媒体の衰退により経営形態の変革を迫らる時代となった。 それよりもずっとずうっと以前、書店は町内の情報センターであり地域の文化施設だった。通りすがりの住民は店内に立寄り、流行の匂いを嗅いだ。定連客は贔屓作家の新刊を視逃すまいとし、定期購読雑誌の最新号の到着を待ちわびた。近隣の小中学校へは教科書や副教材を届けた。 しっかりした考えのご店主による、地元に根づいた書店が数軒あることで、町の住民の文…
午前十一時の時報と同時に、拙宅に北接する区立施設の屋上スピーカーから、大音声が鳴り響いた。長らく工事中でビル全体がテント地や黒い遮蔽幕で覆われたままだが、屋上のスピーカーだけは通常の機能を果そうとするらしい。音が割れて、ひどく耳触りの悪い音声だ。 揺れなかった。消防車や救急車のサイレンも耳に届かなかった。熱中症への注意喚起というほどの陽射しではない。となれば、謎の飛行物体の接近だろうか。警戒警報だろうか。階上の台所で作業中だったが、北側の窓辺へと急ぎ、窓を開けて聴き取ろうとした。アラーム機能のテストだという。なあんだ、演習か。 十時台のラジオでは、山口百恵特集を流していた。伍代夏子さんと男性ア…
江古田散策を了えた一行は昼食休憩。午前の部最後に駆けつけてくれた OB を含めて、年齢も江古田習熟度もまちまちの多人数が容易に席取りできる店などあるはずもない。少数もしくは単独に分散休憩してのち再集合の運びとなった。 珈琲館にて、珈琲とシナモントースト。私の行動パターンには変り映えがしない。たとえ十五分でも三十分でも、ゆったり無為時間があれば読み継ぎたい一書を鞄に入れてある。今日は阿川弘之『論語知らずの論語読み』だった。 午後は池袋から雑司ヶ谷へと歩く。鬼子母神の表参道に「みちくさ市」が立っている。ひと箱古本市だ。用済み本を持寄る有志もあれば、心ある小書店・小出版社もある。プロアマ連合軍だ。倉…
私にとって目白駅、目白警察署、目白消防署はいずれも、徒歩圏内だった。 時間と労力とを考えれば、まず池袋へ出て、山手線に乗換えてひと駅。目白駅へと赴くのが普通かもしれない。それでは三角形の二辺の和を移動することとなり、気乗りがしない。不愉快ですらある。近道を徒歩で行くべきだ。長年にわたる生活信条であって、合理的理由は考慮外である。 桜の老樹をへし折ったのは、いかなる形状のなんトン車であるか、私は車影をこの眼に視てはいない。かつて一度もさような危機も予兆もなかった事態に、どうしてたち至ったのか、解せずにいた。正確な事実はどなたからも聴かされてない。担当部署が異なるらしいいく組もの警察官グループと東…
だれの詩だったか。豚の尻同士がゴツンゴツンぶつかりながら、トラックに揺られてゆく詩があった。名前まで付けて気を配って育ててきた豚を、時期が来たら出荷せねばならぬ、畜産農家の実情が詠われてあったのだろうか。 昨夜遅く、古書往来座のご店主から電話があった。お手都合で荷を引取りにお立寄り願いたいと、先般お願いしてあったのだが、ようやく都合がついたとおっしゃる。で、今日の午後三時にご来訪となった。前回お引取りいただいてから、ちょうどひと月が経ったところだ。 小ぶりのダンボール箱が二十四個口だ。箱の寸法は、おおむね揃っている。ビッグエーのレジで勘定を済ませて、自動支払機での入金も済ませたあとに、荷姿を整…
『佐野學著作集』〈全5巻揃〉佐野学著作集刊行会 編(1957.9 ~ 58.6)定価ナシ。奥付には「特に会員のみに配布」と明記。 もはや読返す体力も時間も、残されてはいまい。隣室へ移動するにさえ、手順足運びに気をつけねばならぬゴミ屋敷にあって、障壁や足場や障害物や目印となったままの書籍・書類のうちで、いずこかのどなたかのお手許にあれば、今なお内容的にか資料的にか、なんらかの値打ちを発揮できるかもしれぬものは、一日も早く手放すにかぎる。懇意にさせていただいている雑司ヶ谷の古書肆「往来座」さんに、お手助けいただかねばならない。 ただし余生の「ヘタな考え」の筋道でふと、あれにはどう書いてあったろうか…
『キネマ旬報』バックナムバー。すべて超美本。段ボール大箱に五個。およそ三百数十冊。リスト未作成につき、内訳詳細は後日。昔の人がおっしゃったとおり、ある所にはあるもんだ。 古本屋研究会。と名乗ったところで、なにも研究するわけじゃない。ただただ古書店のある街を、そぞろ散歩して歩くだけのサークル活動だ。探しもの掘出しものに眼を光らせる会員もあれば、古本漁りを口実に気のおけぬ仲間と未知の街を散歩するのを楽しみにする会員もある。 活動母体の所属としては、日本大学藝術学部の学生サークルということになっている。が、現役学生会員と OB 会員との交流の場でもある。類は友を呼ぶで、他大学出身の会員もある。それど…
わが駅前のヤマボウシが満開。道行くかたがたや、真向うで繁盛する立食いの名店「南天」さんのお客さんがたも、名代の肉蕎麦を賞味するに夢中で、べつだん気に留めぬようだ。 どういうもんだか、この樹が好きだ。盛り場からわが駅へと戻ってこの樹を視ると、ホッとする。花の時期のみではない。たんなる緑の街路樹でいる季節もさようだ。 今日は古本屋研究会の学生諸君と、古書店を散策する日だった。悪癖の夜更しにつき、朝食台所は断念。江古田珈琲館にてモーニングトーストと珈琲。集合場所の学部正門前掲示板へ。 ここのところの陽気では、半袖シャツかと一度は思ったものの、外気は思いのほか涼しく長袖に着替えて出てきたのが、ちょうど…
「ご来日おめでとう。なん年ぶりになるかしらん?」 「帰国だよ。身内に慶事があって、一週間ほどね。十四年ぶりになるかな」 「そりゃもうドイツ人でしょう。永住権も申請できるだろうに。やはりご来日だ」 学生サークル古本屋研究会の立上げメンバーによる飲み会。今はドイツ、デュセルドルフ在住であるかつての二代目会長を歓迎して、三代目会長が音頭を取ってくれた。 私方には記録も記憶もないが、諸兄の入学年度・卒業年度などを勘案して記憶をつなぐと、二〇〇四年の設立ということになるらしい。 サークル立上げ以前にも、そのつど教室にて参加者を募って、若者たちとの古本屋巡りを実施していた。今もご指導をいただいている古書往…
概要 店名 古書 往来座 所在地 最終訪問日時 2024年8月 5段階評価 項目 評価 本 ★★★★ レビュー 外観からわかるように非常に雰囲気のある本屋。 芸術、映画、暮らし、文芸、小説、人文が多い。特に映画と小説には力が入っている。この手の本屋にありがちな幻想系やエロスは少ない。 ジャンル、ごとに棚が分けられ、50音順にセパレータで区切られているため非常に漁りやすい。空気感だけではなくしっかりと機能性も追求されている。なるべく表紙が見えるように配置されておりディスプレイも凝っている。 価格はやや高め。その分状態は良い。 本以外にも小物やインテリアが随所で販売されており、店内の雰囲気を作るこ…
図表 4: 当社予想は中国、米国、インド、インドネシア、ドイツが2050年に世界5大国になるこ とを示唆する 世界GDPランキング(米ドル建て) https://www.goldmansachs.com/japan/insights/pages/path-to-2075-f/report.pdf
アレッ花芽か。本気かよォ。 玄関から門扉への通路の左岸右岸にて命脈を保っている、先祖還り君子蘭を丸刈りにしたところ、数日のうちに芽を吹いてきた。丸っこい矮性の芽がじわじわ出てきたバルブがほとんどのなかで、細く丈高い芽がヒュッと出てきたバルブが、左岸右岸に一個づつある。昨日まで無頓着だった。全身が地中に没したバルブから、四分の一ほどが地上に現れたバルブまであって、どのていどが最適なのか、判断できなかったからだ。当るも八卦当らぬも、というわけで、なりゆきのまま放置しておいた。 今朝、しげしげと眺めてみると、「じわじわ」と「ヒュッ」とは条件による個体差ではなさそうだ。細く長身の芽は、どうやら花を開く…
正午までに雨は上ると、天気予報は告げている。伊豆諸島沖を通過する台風が、遠ざかってゆくそうだ。しかしみすみす時間の無駄もできないから、出かける。 銀行 ATM の前には行列ができている。晦日だ。いよいよ支払いが待ったなしだとか、今日中に手形を落さぬと会社の一大事だとか、綱渡りの渡世に眼が血走ったかたも世にはおいでなのだろう。 駅前にも行列が。人ではなく街路樹のヤマボウシだ。早咲きのひと株と遅咲きのふた株だ。 五月も末日となって、池袋東武百貨店にて、慌てて進物の手配だ。早期申込み割引だの送料サービスだのの特典期間だ。 進物といったところで、社会生活がほとんどなくなった身には、無沙汰挨拶の必要はほ…
雨である。珍しく、外出する気満まんだったのに。 メイデーは国民の休日でこそないけれども、かつて労働者の祝日ではあった。ご近所の清水木工所からも鈴木鉄工所からも、機械の音は聞えてこなかった。 どこどこで共産党系の、あるいは社会党・総評系の集会があっただの、デモ行進があっただのと、写真付きで新聞記事になった。今でも集会は開かれているのだろうが、社会的関心事となることはない。したがって報道ニュースになることもない。いつごろからこうなっちまったのだろうか。境目の記憶がない。 今では、臨時休業できるかたにとっては、大型連休のまっ最中である。だが週日は週日だ。出掛けてみたい腹づもりがあった。ところが雨だ。…
2023年12月21日(木) 振替休日をとる。 神保町のpassageに棚借りをしているため年内最後の補充に行く。12冊ほどを鞄に詰めて家を出る。 車中は、中野翠「何が何だか」(毎日新聞社)を読む。毎年恒例の暮れに出る『サンデー毎日』の連載をまとめた本の最新刊。昨年10月から今年の9月まで。何年か前から雑誌の連載間隔が長くなったので以前の本よりも薄くなり、それを補うために3分の1程は他の媒体に書いた映画評が入っている。メインの日記部分は往復の車内でサクッと読んでしまった。 神保町に着き、passageへ。「ROCA」「みんな彗星を見ていた」「古本食堂」「古本屋の四季」「本屋会議」「最後の角川春…