鬼子母神に近い、南池袋にある古本屋。わめぞメンバー。店内は文学系を中心とした品揃えで、かなり広い。 古書現世、立石書店、旅猫雑貨店、リコシェなどと隔月に開催している「外市」の会場でもある。
東京都豊島区南池袋3丁目8-1ニックハイム南池袋1階
あちらからはこちらが、どう見えているのだろうか。 学生にとっての試験期間や入試時期も過ぎ、好過ぎるほどの陽気にも恵まれ、古本屋研究会の散策企画が催され、若者たちの尻尾について歩かせてもらった。今回は眼の色を変えて古書店を縫って歩くというよりも、文豪の墓詣りをしながら、道すがらの書店にまで足を伸ばすという企画だった。 山手線巣鴨駅に集合。駅前広場の隅で輪となって、会長から今日の順路予定を伺う。まず染井霊園へと歩く。国道両側の繁華街の庇の上は、太陽光パネルが隙間なく並んで黒光りしている。 この国道は、なにをかくそう中山道。対岸に見える枝道「お婆ちゃんの原宿」こと「とげ抜き地蔵通り」が旧中山道だ。 …
久びさのタカセ珈琲サロンだ。朝食も摂らずに出てきてしまったので、間食は二個とするか。マロングラッセとブランデーケーキ。近年もっとも選択頻度の高い、いわばクリンアップ・トリオ二人の同時打席みたいなもんだ。 長らくお待たせしてしまったかたや、一族の系図に関わる貴重資料をご提供くださった本家筋のかたや、耳寄りなご教示をくださったかたなど、格別なご好意に与りながらも、例によってわがものぐさから、ろくにお礼も申しあげずに日が経ってしまった事案が三つも溜ってしまった。せめてものお詫びと遅ればせのお礼とをかねて、なにかお遣いものをと、池袋まで出かけた。 なん十年も重宝させてもらってきた西武百貨店の名店街が、…
1320日も書いてきて、今さら公開もはばかり多くはございますが、私には二人ほど同居人がございます。 「ゲンちゃん、梅干しがヤマ。玉子がリーチ。単三四個組、血圧計用。八百屋はじゃが芋抜きで茄子を追加」 たとえばそんなふうに声を掛けます。ヤマは「底を衝いた、空になる」の忌詞(いみことば)で、リーチは云わずと知れた、あと一個でヤマとなるとの麻雀用語です。その手前がイーシャンテンです。また川口青果店でこの季節に私が買う常用野菜三種は、玉ねぎ・じゃが芋・かぼちゃで、今日はじゃが芋だけは間に合っているけれども、茄子を追加してみる、という意味です。 「了解!」 ゲンちゃんは物品調達係で在庫記録係です。おもに…
そのほう来年もまだ、人並みに生きられると思うてか? どこぞから声が聞えてくる気がする。 この時期にロフトまで買物に出かけるのは、例年の年中行事といえる。迎春の準備だ。 まず手抜き年賀状作成に向けて、小道具の用意である。ハガキの余白を埋めるための、干支のゴム印を仕入れる。鼻白むほど子供じみた発想だが、省力化の実益には替えがたい。もともと金釘流もここまでとはというほどの悪筆であるうえに、気の利いたひと筆画も描けぬ身だったが、近年さらに手が固くなり、わが筆跡は視るも無残なる様相を呈する。にもかかわらず愚にもつかぬ意地もあって、印刷年賀状だけは避けたいとなれば、小学生のごときゴム印年賀状もやむなしとな…
スーパーで買って帰る道すがらに、玉子を一個、落してしまった人があった。もったいないことをしたと、思われたことだろう。割れたまま往来に放置された玉子を轢いていった、自転車かバイクかのタイヤがあった。 だからどうした、という噺だ。 急に肌寒くなったとはいえ、風さえ吹かなければ、午前中の陽射しはうららかだ。一日のうちでもっとも心地よい。午後になると急速に肌寒くなってゆく。承知しているくせに、最良の時間を寝て過す日が多い。かくてはならじと思いつつも、自分に甘い。日に三十分以上は陽光を浴びないと、いくら食生活を保ったところでビタミンDが形成されないと、教えられてもいる。 思い切って池袋まで用足しに出る。…
昨日に続き、7 による怪しげな更新である。 わがパソコンの寿命からくる不具合と、わが処置なしレベルの無知とから、多用多忙をきわめるわがパソコンドクターながしろ氏に急遽往診いただいた一件を、昨日日記にてお眼にしてくださったいく人かの友人から、お見舞いのお言葉をいただいてしまった。いずれもお電話でだが、このぶんだとおそらくはメールでも頂戴していることだろう。そのメールを現在のところ、開くことも視ることも叶わぬために、お心遣いのお礼も申しあげられずにいる。 日ごろなにかとご厄介をおかけしている古書往来座さんのご店主は、このていどのシンプルパソコンであれば私にも操作を覚えられようという機種をご選定くだ…
タカセ珈琲サロンにて、最近定番のブランデーケーキ。ただし飲み物は、今季最初のホット珈琲。家を出るときには、立寄る気はなかったのだったが。 池袋北口方面のとある一画は、チャイナタウン化がいっそう進んだと聴く。かつては盛んに騒ぎ回ったあたりだ。懐かしい店のなん軒かは、今も健在だ。そのあたりを過ぎると、にわかにディープ池袋へと入る。特殊浴場やマッサージの奉仕業店が目立つ一帯だ。その先は、ホテル街である。極彩色のネオン看板が軒を連ね、眼を惹く。 じつのところそれらはまだ、ディープ風俗街とは称びがたい。いかなる業種かを一目瞭然にして、往来に向けて看板を出し、料金を明示してあったりするからだ。周辺に散在す…
おおかたの露店は、撤収作業に入る。雑司ヶ谷鬼子母神さまご境内での「手づくり市」である。 夜半から早朝へかけて、時おり肌寒さをおぼえるほどの涼風が吹いた。だのにラジオでは、今日もきびしい残暑になると警戒を呼掛けている。ホントかいな、と思った。 陽が高くなるにしたがい、気温も湿度も急上昇し始めた。午前十時には、肌にベトッと来るような湿気をともなう猛残暑となった。濡らしたティッシュペイパーで口と鼻とを塞がれたような、息苦しさすら感じた。 それでも今日ばかりは出掛けてみよう、いやぜひとも出掛けたいとの思いがあった。古書往来座さんの店先で、中古の雑貨小物が展示即売されると聴いていた。おりしも同店からほど…
南千住の集文堂書店が、創業以来百二年にわたって提げてきた暖簾を、さきごろ降ろした。 全国展開する超大型書店が繁華街にビルを構え、大量情報の大量販売を競う時代がやって来て、すでに久しい。それら超大型店すらが、紙媒体の衰退により経営形態の変革を迫らる時代となった。 それよりもずっとずうっと以前、書店は町内の情報センターであり地域の文化施設だった。通りすがりの住民は店内に立寄り、流行の匂いを嗅いだ。定連客は贔屓作家の新刊を視逃すまいとし、定期購読雑誌の最新号の到着を待ちわびた。近隣の小中学校へは教科書や副教材を届けた。 しっかりした考えのご店主による、地元に根づいた書店が数軒あることで、町の住民の文…
午前十一時の時報と同時に、拙宅に北接する区立施設の屋上スピーカーから、大音声が鳴り響いた。長らく工事中でビル全体がテント地や黒い遮蔽幕で覆われたままだが、屋上のスピーカーだけは通常の機能を果そうとするらしい。音が割れて、ひどく耳触りの悪い音声だ。 揺れなかった。消防車や救急車のサイレンも耳に届かなかった。熱中症への注意喚起というほどの陽射しではない。となれば、謎の飛行物体の接近だろうか。警戒警報だろうか。階上の台所で作業中だったが、北側の窓辺へと急ぎ、窓を開けて聴き取ろうとした。アラーム機能のテストだという。なあんだ、演習か。 十時台のラジオでは、山口百恵特集を流していた。伍代夏子さんと男性ア…