行列に参加した人々は 皆 分相応に美しい装いで身を飾っている中でも 高官は高官らしい光を負っていると見えたが、 源氏に比べるとだれも見栄えがなかったようである。 大将の臨時の随身を、 殿上にも勤める近衛の尉《じょう》が するようなことは例の少ないことで、 何かの晴れの行幸などばかりに許されることであったが、 今日は蔵人《くろうど》を兼ねた右近衛《うこんえ》の尉が 源氏に従っていた。 そのほかの随身も顔姿ともによい者ばかりが選ばれてあって、 源氏が世の中で重んぜられていることは、 こんな時にもよく見えた。 この人にはなびかぬ草木もないこの世であった。 壺装束《つぼしょうぞく》といって頭の髪の上か…