仇討奇難録:佐々木味津三 1927年(昭2)6月~9月、雑誌「実業の日本」に8回にわたり連載。 1952年(昭27)同光社磯部書房刊、佐々木味津三代表作選集第5巻所収。 「仇討奇難」とは殺された妻の仇討をすることを指すようだ。(下記引用参照)男尊女卑の時代には男は女のためにそこまで必死にならなくても、という空威張りの掟があった。美人妻を娶った桑名藩士江川久馬は、彼女に横恋慕する家老の息子による親子ぐるみの奸計に翻弄される。用務で大阪から戻ると家はもぬけの殻で、妻は行方不明、使用人の姿も消えていた。藩の中で孤立していた彼は単身で少しずつこの謎を解き明かしていく。武家の体面やしがらみに縛られる点で…