陣屋町有城から少し西に行くと、笹無山という小さな丘がある。 笹無山 この小さな丘は、佐々木盛綱に対して、平家が布陣する対岸に渡ることができる浅瀬の存在を教えた漁師の悲劇に関連がある。 藤戸海峡を挟んだ対岸に布陣する平氏方を攻めあぐねていた源氏方の盛綱は、浜辺で良策がないか思案していた。その時、藤戸の海を自分の庭のように熟知している漁師に出遇った。 盛綱は、漁師から対岸に渡ることが出来る浅瀬の存在を聞きだした。そして漁師に対して、同行して場所を教えてくれたら褒美を取らせると約束して同行させた。 漁師は、浅瀬に笹を目印として立てながら進んでいった。盛綱は、浅瀬の場所を知るや、先陣の功を独り占めする…