詩人。1939年東京生まれ。 慶応義塾大学国文科卒業。在学中から『三田詩人』『ドラムカン』を中心に詩作活動を展開、以後、先鋭的な現代詩人として高い評価を受ける。60年代末から詩の朗読を続ける一方、現代美術や音楽とのコラボレーション、写真などの活動も意欲的に展開。近年銅板オブジェの制作を始める。 主な詩集に『黄金詩篇』(高見順賞)、『オシリス、石ノ神』(現代詩花椿賞)、『螺旋歌』(詩歌文学館賞)、『「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」』(芸術選奨文部大臣賞)など。
詩とは何か (講談社現代新書) 作者:吉増 剛造 講談社 Amazon もし私が一人の心の傷をいやすことができるなら私の生きるのは無駄ではないもし私が一人の生命の苦しみをやわらげ一人の苦痛をさますことができるなら気を失った駒鳥を巣にもどすことができるなら私の生きるのは無駄ではない If it can stop one Heart from breakingI shall not live in vain If I can ease one Life the AchingOr cool one Pain Or help one fainting RobinUnto his Nest againI…
朝に鳴く鳥の声に 今までに聞いたことのないのが加わる。 馴染みのシジュウカラに ギターの低い弦の音のような鳴き声が重なる。 それを聴きながら 朝ご飯のパンを齧り ミルク紅茶を一口啜る。 ポプラの木の葉に 金色の毛虫が群がるのは 毎年の夏の終わり。 その毛虫が好物の野鳥が ポプラに群がり 食べる音が 微かに聞こえる。 そして 昼ごはんの後に ポプラの下を用事で歩いた後 ちゃんと私の肩に 小さな金色の毛虫が2匹。 驚いたのは勿論だ。 夕方の空 それは美しいものだった。 ぐるりと見回した空に 淡いピンクとグレーの雲。 日暮れが30分早くなった。 吉増剛造と並行して ソローの「メインの森」を再読してい…
蔓穂(ツルボ) 10日 朝。 霧で周りの山が見えなかった。 その霧が晴れると 雨が降った後のように 草や木々 道が濡れていた。 それが とても爽やかな美しさだ。 今日私は何をしたのか? 毎日の家事 仕事をして 合間に吉増剛造を読んだ。 ウォーキングの時に かわいいピンクの花 蔓穂を見つけ 屈んで写真を撮った。 夕方の空を見上げて 雲が美しいと思った。 小屋のそばに植っているミントを摘んで それを刻み クッキーの生地に練り込み焼いた。 深夜に1日を振り返り 何か足りないと思う。
胡麻とほうじ茶のクッキー 深夜に強い雨の音が気になり スマホで気象庁の雨雲レーダーを見る。 赤と黄色は豪雨の印。 それがうちの上を動いている。 1時間で通り過ぎるのを確かめ眠る。 目覚めると 水をたっぷりと含んだ木々と土。 窓から差し込む明るい光に ほっとする。 涼しい風と 高い湿度が混ざり合う空気。 昼ご飯の後 少し前に買った「吉増剛造詩集」を読み始める。 今年84歳の吉増剛造の 20代の姿が 日記の章に 活き活きとして現れるのを 不思議な気持ちでパラパラと読んだ。 軽いぎっくり腰で 腰を摩り摩りの1日だった。
昨日の土曜日(4/8)は、午前は晴れていたが、午後は天気が荒れた。午後3時~4時で東京都美術館で開催しているエゴン・シーレ展の入場予約を前日にしておいた。もう一つ、これも前日の金曜に、土曜午後6時50分から10時20分まで池袋の新文芸坐で開かれる、故ジョナス・メカスとの思い出や彼の生きた跡を訪ねて、メカスの朋友だった詩人吉増剛三がニューヨークを訪ねる旅を中心に記録したドキュメント映画「眩暈」の上映と、上映後のトークショー等の予約もしておいた。実は最後の一席を予約したのが私だった。友人某さんからラインで、もうすぐ売り切れそうだ、という連絡をいただき、満席にはならないだろうから当日行けば大丈夫だろ…
池袋にある新文芸坐(初めて行った)まで、ururundoさんに教えてもらった「眩暈」を観に行く 当日のみの上映ということで、チケットは完売 ジョナス・メカス 2019年に96歳で他界したアメリカの詩人であり、映画監督 リトアニアの出身で、ナチスに捕らえられ強制収容キャンプに収容された(後に脱出し、数年後に難民船でニューヨークに渡る) そんなメカスを師と仰ぎ、また友として50年以上の交流があった日本の詩人・吉増剛造が、亡くなって1年後の2020年1月に、ニューヨークに向かうドキュメンタリー映画 メカスの自宅を訪ね、息子のセバスチャンに再会し、亡くなる前は特に苦しむことも無く弱っていったと聞き、安…
新風館のUPLINK京都 「眩暈 VERTIGO」 10日 ドキュメンタリー映画 「眩暈(めまい) VERTIGO」を観た。 キネマ旬報の記事で紹介されていた 夫曰く「いかにも私の好きそうな映画」。 詩人吉増剛造が 同士とも呼べる 米国前衛映画の先駆者、詩人の故ジョナス・メカスの幻影と共に マンハッタン ブルックリン コニーアイランドへ 再訪する。 2時間のストーリーを短く言えばこれだけだが・・・ 詩人は 地下鉄に乗っている時も メカスのスタジオでも 街を歩く時も 禅僧が瞑想するかのようなふぜいで 詩を書き 語る。 そして メカスのスタジオで書いた詩の最後 「眩暈(めまい)! メカス!」と力強…
図書館から借りてきた3冊の吉増剛造の本は 広辞苑のように分厚いの 1センチほどの そして A4サイズより 少し小さいの。 A4サイズより少し小さい詩集が「オシリス、石の神」だ。 生成り色のざらりとした紙に 文字が凸版印刷されており カットされたページの上部は不揃い。 最後のページには 和紙に朱印が押された 美しい蔵書票が貼ってある。 久しぶりに出会った 丁寧に作られた美しい本。 詩集の中の一つ (色物の) 20代から名前だけは知っていた。 ドキュメンタリー「眩暈 VERTIGO」を知り 読んでみたいと思った。 今更ながらではあるが 今がその時なのだろう。 楽しみに読んでみたい。 ururund…
おやつ(コーヒーとケーキ) 夜の間に雪が降り それは 積もった雪の下が透けて見える程だ。 朝の7時前から明るくなるが 山の向こうから 太陽が顔を出すのは午前9時過ぎ。 屋根から溶けた雪が 雨水のように 雫となって落ちてくる。 小屋の周りの雪は まだ30センチ程の厚みで残り 道路脇の温度計は夕方6時で−1度。 比良山系の山は白く 春の兆しも見えない。 図書館で定期購読している「キネマ旬報」で とても面白い映画の記事を読んだ。 『眩暈 VERTIGO』 「詩人 吉増剛造が盟友故ジョナス・メカスの幻影を マンハッタンとブルックリンに追いかける。 実験映画の巨人と言われた メカスの一周忌に レクイエム…
とうとうこの連載も パート⑩まで来た。 あまり長くだらだらと続けても しょうがないと思うので、 今回で最終回にしたいと思う。 前回の記事で 著者の吉増剛造(よしますごうぞう)氏の詩に対する 姿勢や考え方を読み解いた。 それは言語や文法、制度、既成の枠組みなど 「かたちあるもの」を突き破って その彼方(かなた)にある「根源」の世界へと 至ること、 そのために激しく「身悶(みもだ)え」しながら 詩作へと向かうこと であった。 今回はその続きとなる。 著者は「書く」という行為 そのものにも工夫をこらす。 ただふつうに書くのではない。 目をつぶって書いたり、 紙にインクを垂らしたり、 時には鏨(たがね…
じっくりとした睡眠を終え、午前中は軽く授業準備をした後、執筆ミーティング。今週はひとつオムニバス授業の担当回があり、大人数相手に講義をするので、そのためのスライドを作成した。ミーティングの方は、いつものように雑談と放言が中心になったが、ここ最近は毎週執筆目標を達成できているのでよしとする。 昼にツナと海苔のパスタをつくって食べた後、陽光が差してきたので気分が良くなってきて外出することにし、数週間ぶりに図書館に行った。今回は自習室での研究ではなく、書架を物色しながら読書のための本探しをした。結果、以下の5冊を借りて読む。バスで帰って家に着く直前には小雨が降り始め、良いタイミングで外出を終えること…
「帶」~詩人・善盛さんの時代 現実の異端を書いた詩人の消息 トークと朗読 柴田望 in俊カフェ 2023年12月8日 本日はご多忙の中お集まり戴き、誠にありがとうございます。昭和二(一九二七)年の今日、十二月八日が詩人・古川善盛さんのお誕生日になります。大切な記念の日です。一九四八年の十二月八日が柴田の父の誕生日、一九四三年の十二月八日が六十年代のロックバンド、ドアーズのジム・モリソンの誕生日です。私は高校時代、ドアーズやルー・リードの影響で、「知覚の扉」、オルダス・ハクスリー、ウィリアム・ブレイクを読み、ディラン・トマス、ランボー、ビート・ジェネレーション、ケルアック、ギンズバーグを経由して…
昨日の実践読み講座、おつかれさまでした! 今回も受講生の皆さんからのレポートのおかげで、新しい関係性の力学を考える機会をいただきました。 どのような関係であっても、例えば、たった数時間の出会いであっても、または、小説や詩、音楽などの文化的な出会いであっても、自分の心を大きく揺さぶるものであれば、その関係性には重要な意味があり、私たちに豊かな示唆を与えてくれます。 そして、その出会いの意味と力の働きを考えるのが心理占星術における関係性の力学です。 この日は、講座の最初に大谷選手と水原一平さんの関係性の力学を考えてみました。コンポジットチャートの考え方も採用し、この二人の出会いの意味と、その後の悲…
近しい人が創作活動を再開したという知らせを聞いた。そのことを本当に喜ばしく思うと共に、自分自身の創作はこれでいいのかとも思う。 また先日、とある詩人の投稿履歴のようなエッセイを読んだことで、もう一度あの投稿の日々に戻りたいという気持ちに駆られてしまった。 そうした外的な要因にあまり左右されずに、自分自身の創作物と向き合いたいと思ってきた。投稿生活から離れてしばらく経ち、この間に海をモティーフとした詩ばかりだった傾向から、だんだんとそこから離れて、さまざまなモティーフを用いるようになった。 そのことを単に寿ぐことはできない。血肉と化した言葉でなければ詩にはなり得ないという感覚は、吉増剛造『詩とは…
日本の名随筆 (別巻73) 野球 作品社 Amazon 野球が大好き。年間365冊読む本のウチ、野球関連だけでも20冊は読むかなあ!そんなにあるのって思うかもしれないけど、あるのよー!!!(*^^*) さて、この本は野球に関しての随筆を集めたもの。スゴいのは宮沢賢治、正岡子規、夏目漱石が野球について書いた文章もあるのよ!!!スゴいでしょ!!!そのエッセンスを紹介しよう。 ・愉快とよばしむる者ただ一ツあり ベース、ボールなり 凡そ遊戯といへども趣向(プリンシプル)簡単なれば、それだけ興味薄く。さりとて囲碁、将棋の如きは精神を過度に費し、且つ運動にならねば遊戯とはいひがたし 運動にもなり しかも趣…
・韓国の『詩評』(3月10日発行 The Poet Society of Asia 編集人 高炯烈氏)に作品と写真、経歴、紹介文などを掲載戴いております! 中国、インドネシア、日本、韓国、台湾、ベトナムの詩人の作品集。210ページもあるとてもしっかりした本です。日本からは佐川亜紀さん、青木由弥子さん、伊藤芳博さん、半田信和さん、柴田望が寄稿、「部分と全体は分離できない」というテーマで、「違う世界が、同じ時間の進行を経験している」「別世界だけど分離していない」…拙詩『壁』の分断と小樽の風景、アフガニスタンの《詩作禁止令》への抵抗連帯『詩の檻はない』について書かせて戴きました。権宅明氏の翻訳です。…
日時 2024年3月24日(日)13:00開会(12時30分より受付) 会場 札幌大谷大学A棟3F・A304 交通アクセス(札幌大谷大学) 校舎案内・周辺環境(札幌大谷大学) インフルエンザや新型コロナウイルス感染対策として、以下の点にご留意ください 発熱等の風邪症状がある場合は、来場をお控えください。 会場入口には消毒液を設置しております。手指の消毒にご協力ください。 会場内においては、適宜マスクの着用をお願いします。 PDF版ポスターダウンロード(※発表タイトルに一部誤りがあり、3/8にポスターを差し替えました。改めてこちらからダウンロードをお願いします) 〈開会の辞〉 上戸 理恵(札幌大…
3月7日(木)19:30-21:00 吉増剛造 大友良英、 MARYLYA おうち、おうち Domus, Domus『Domus X』刊行記念イベント 映 像: 鈴木余位 サウンド: ホワイトライト 恵比寿NADiff a/p/a/r/t https://www.nadiff-online.com/?pid=179465070 DOMUS X 作者:吉増 剛造 コトニ社 Amazon
寿司。誕生日だしな。 pic.twitter.com/qafGun5QX8 — 黄金頭 (@goldhead) February 22, 2024 おれの誕生日は2月22日である。そんな個人情報さらしていいのかという話もあるかと思うが、おれのなかではべつにさらしてもいい情報である。 おれは、つきじ海賓から出前で二人前の寿司を注文した。ピザに飽いたおれに残されていたのは寿司だけだった。 おれは寿司を食った。なるほど、「寿司はピザに比べて祝祭感が足りない」と言ってくれた人は正しかった。久しぶり(去年、金沢に行って以来?)の寿司は寿司でうまかった。しかし、脳を揺さぶるような衝撃はなかった。 月に一度…
速度差 〝私〟は 希薄な流体の速度差が生み出す 濃淡の、層状の、互いに混じり合わない 白い空間に置き去りにされる 柔らかな身体と、硬い嘴をもつ 雛の群の中に放り出されたように 〝私〟の身体は 心地よさと痛みとを同時に感じる それは不意に熱く、不意に冷たく 〝私〟を眠らせない ああ、幾本もの白い指よ 〝私〟は〝ここ〟でいい もう行ってくれ… ***** 僕の書棚には、自費出版されたものから古典のものまで、詩集がたくさんあります。 自分で買ったものも多いのですが、自費出版された方から献本していただいたものも結構あります。 「詩と思想研究会」(2003年頃を中心に参加していました)で出会った方々から…
目次 男のパリ1993 川久保玲のメンズについてインタビューを完全ノーカットでお届け 緒形拳・宇崎竜童の私物のコムデギャルソンオムプリュス プリュス初期コレクション総まとめ // 男のパリ1993 今回ご紹介するのは『ELLE HOMME』1993年1月号です。“現地編集総力特集”は“男のパリ1993”。 「1993」という文字を見ると、どうしてもこの歌を思い浮かべてしまいます笑。これを聴いてた中学1年生の僕は、ファッションのファの字も知りませんでした。 www.youtube.com 巻頭特集はパリを代表するファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエのインタビュー。 その他にも、“パリの…
↓こちら worldend-critic.com 当ブログがネチネチと批判しているWebサイト『週末批評』に、さらにネチネチと批判している杉田俊介先生がとうとう寄稿してしまった。これは読まずにおれまい。 今回の杉田先生は『ゴジラ-1.0』『首』『すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』の三作を論じている。私は三作とも観ている。よかった。 しかし「論じている」と書いたものの、杉田先生の文章はもはや「論」になっていない。思いつきの断片みたいな文章をたくさん繋げただけのものになっている。なので批判しようにも主張が掴めなくて難しい。 主張はないが『ゴジラ』と『首』はどちらも首が象徴的に描かれていると…
こういう面白い事件、後の時代であればぜったいに起こり得ない、人に語って聞かせたくなるような事件がじっさいに起こった分だけ、やはり当時の世の中はまだまともだった、そう思いたくもなってしまう、核エネルギーの平和利用は可能であると主張し、交通事故死の急増も繁栄のためには免れ得ない犠牲と諦めていた。有機水銀化合物ををそのまま海に垂れ流しても希薄化されるのでさしたる問題はないと信じ込むほど、我々はじゅうぶんに無知で、蒙昧ではあったが、自分たちの理解を超える事象に対してまで恥ずかし気もなく知ったか振りをするほどは、傲慢ではなかったということなのか?(磯﨑憲一郎『日本蒙昧前史』文春文庫、2023) こんにち…
映画美学校 言語表現コース ことばの学校 第3期演習科 2024年1月開講! 【主任講師】佐々木敦(思考家) 【演習科専任講師<創作クラス>】 大崎清夏(詩人)、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク(舞台作家)、九龍ジョー(ライター・編集者)、滝口悠生(小説家) 【演習科専任講師<批評クラス>】 倉本さおり(書評家)、豊崎由美(書評家)、矢野利裕(批評家、DJ)、山本浩貴(小説家・デザイナー・批評家・編集者・いぬのせなか座主宰) 【演習科ゲスト講師】 朝吹真理子(作家)、川上未映子(小説家)、保坂和志(小説家)、吉増剛造(詩人) eigabigakkou.com ことばと vol.5 書肆…