旧い仲間がSNSに、今年読んだ本のベスト5を投稿している。大出版社の雑誌編集部員から上って重役にまで昇り詰めた男だ。仲間内での出世頭の一人といえる。ベスト5は彼にとっては恒例の歳末行事といえ、毎年今ごろご披露くださる。 驚かされる。敬服する。というよりも、呆れる。たしか私と同齢のはずだが、退職後も今なお、猛然たる読書意欲と読書量とを維持しているようだ。真似したくとも私には、読了した本が果して五冊あるものやら、ないものやら。 この半年というもの、鞄の脇ポケットには、さして部厚くもない二冊の文庫本が入ったきりだった。猛暑のさなかにも、この二冊が入っていた。電車を待つホームで、また車内で、五分十分と…