「日本医家伝」は、医学関係の季刊雑誌「クレアタ」に3年間連載されたものをまとめた短編集で、いずれも江戸時代中期から明治初期にかけて活躍した12人の医家の生涯が綴られています。 取り上げられている医家は、吉村昭の長編小説にも主人公として登場している方が半数で、残りの医家は私自身初めて名前を聞くという方でした。吉村昭が選んだ12人の医家とはどんな人物か、あとがきにはこう記されています。 顕著な医学業績を残した人たちであることはもちろんだが、それ以上に人間的に強い興味をいだいた医家たちである。それらの医家たちの生き方に、現代の様々な医家との激しい類似も見出すのである。 ここでは、12人の中から特に印…