気鋭のアニメーション監督・吉浦康裕氏は自身の作品を通して「人間とAIの関係性」に一石を投じている。 例えば、同氏が原作・監督・脚本を務めた『イヴの時間』(2008年)は人間と人型ロボット(アンドロイド)の"共生"を模索した意欲作だ。本作は両者を明確な主従関係を通して表現しており、特に人間はアンドロイドをこき使う存在として描かれている。果たして「便利な道具」として扱われることだけがアンドロイドの存在価値なのか。人間がAIと共存するために必要な考え方とは――。 本作『アイの歌声を聴かせて』は、そんな『イヴの時間』で掲げた問いを科学技術が進歩した現代風に再構築し、一つの答えを導き出している。 役に立…