「en-taxi」VOL.25(扶桑社、2009年3月刊)への寄稿記事を加筆修正のうえ転載します。 ライター稼業を始めて数年経つが、自分の書いたものを読み返すことはほとんどない。もちろん書いている間は何度となく読み返すが、いったん手を放れてしまえばそれきり。何が書いてあるかはだいたい知ってるし、読んで直したくなってももう直せないからだ。 床に積まれた本の山を崩して、五年前の雑誌を探す。「en-taxi」四号、吉田明という陶芸家を特集した号だ。学生時代からお世話になっている福田和也先生に誘われて青梅の工房を訪れ、吉田明さんの手ほどきに従って粘土をいじった。そしてコラムともエッセイともつかない短い…