先日、吉祥寺バウスシアター で『書を捨てよ町へ出よう』(1971)を鑑賞した。寺山修司の長編映画監督デビュー作。劇場のさよなら企画の《さよならバウスシアター、最後の宴》にふさわしい一本。なんとなく中央線沿線に合っている気がする映画である。この映画を観たのは何十年ぶりだったが、いまでも作り手の強烈なエネルギーを感じる。見どころは冒頭と終盤。とくに主人公がいきなり映画館の観客に語りかける冒頭シーンは印象に残る。 何してんだよ。映画館の暗闇の中で、そうやって腰掛けてたって、何にも始まんないよ。スクリーンはいつでも空っぽなんだよ。 ぜひ一度は映画館のスクリーンで観てほしい作品である。この映画は、主人公…