在野の民俗学者。1916年東京生まれ。
1954年津田塾大学卒。専業主婦であったが、趣味で習っていた日本舞踊でなぜ扇を使うのか、扇の起源は何なのか、という疑問に突然とらわれ、調査した結果を著書『扇』(人文書院)にまとめる。 1977年「陰陽五行思想から見た日本の祭」で文学博士号を取得。
その他の著書に『蛇』(講談社学術文庫)、『陰陽五行と日本の文化』(大和書房)など。
前回【河西養狐場パネル展示のこと① 】の続きです。 続いての展示は国内外における毛皮産業の歴史について。気になったところをちょっとだけメモしていくつもりだったのですが、今回もだらだらと長文になってしまいました。書いたあと全消ししようかとも思いましたが備忘録として載せておきます。あまりご興味のない方はスルー推奨です_(._.)_ 養狐場はどのようにして始まったのか 明治時代の日本では、国の経済力を高めて西洋諸国に対抗するため殖産興業の名のもとに新たな産業が次々と興された。 海外の上流階級の装いに欠かせない存在であった毛皮は、簡便な外貨獲得の手段として当時の主要輸出品目のひとつであり、また国内の富…
(8/2)ひとまず100点選書。第一弾の選書なので推薦本には頼らず。蔵書とアマゾンのブックリスト、これまでの読書経験と知識を駆使して、読みたい本を直感で選んだ。 今のところ順番はランダムだ。3500の選書リストが完成するまでには適切な分類法を見つけようと思う。その際、選書やリスト作成におけるルールも付記する(表紙画像は載せない、アマゾンや出版社ページへのリンクは貼らない等)。 (8/3)200点選書。 (8/4)300点選書。 (8/5)400点選書。そろそろ分類しないとね。日本十進分類法を参考にする予定。 (8/9)500点選書。 (8/10)600点選書。 (8/11)700点選書。 (8…
おはようございます。 くましね薫です。 今回は縄文時代考察の4回目です。 kumashine369.hatenablog.com 以前からスピリチュアル業界では、 縄文時代=中今の思想 と言われています。 そこで説明されるのは、「中今」とは「今を認識すること」という思想です。 人の悩みのほとんどは、来るかわからない未来のことや、過ぎ去ってどこにも存在しない過去のことばかりです。そんなものに脳のエネルギーを消費するのは無駄です。そうではなく、目の前の「今」に集中しましょう、という内容です。 しかしこの思想はなんだか「禅」の思想が強く入ってそうで、純粋に縄文人の思想なのか疑ってしまいます。 そもそ…
こんにちは。くましね薫です。 縄文時代考察の2回目です。 前回は、縄文時代の人々の世界観である「世界の中心は母親のお腹の中」と言う考察をしました。 母親のお腹の中とは、生と死を循環する魂が宿る場所で、とても神聖な場所です。 kumashine369.hatenablog.com そして、この輪廻転生の象徴として縄文時代に崇(あが)められていたのが「蛇神」です。 蛇が神様だったというのは、現代の私たちからすると想像が難しいです。 もちろん縄文人も、毒蛇に対して恐怖を持っていました。なので、蛇神は「畏怖」の対象でした。 しかし、それだけではありません。 蛇が脱皮を繰り返して成長する姿は、縄文人にと…
おはようございます。くましね薫です。 前回は、歴史から消された女性祭祀王について考察しました。 kumashine369.hatenablog.com この女性祭祀王について深く考察する前に、まずは縄文時代の人々はどういった世界観で暮らしていたのかを知らなければなりません。 現在、縄文時代が大変注目されています。 3万年以上も続いた時代で、争いもなく平和な時代だったと言われ、競争社会に生きる私たちにとって楽園のような世界に思えます。 ただ、なぜ縄文時代は平和だったのか、その理由を知る人があまりいないと思います。 その理由とは、縄文時代の世界の中心が「母親のお腹の中」にあったからです。 古代の人…
竹取物語は日本最古級の作り物語として知られている。その起源については中国起源など諸説が唱えられているが、本稿では竹取が竹工芸と「易筮(筮竹を取る)」とのダブル・ミーニングではないかという仮説を立て論じる。 夬卦と姤卦……山本唯一説 先行研究は近世文学者・山本唯一が『易占と日本文学』(昭和51年、清水弘文堂)で論じている(この手の議論は何と言っても吉野裕子だが、易占と竹取物語を論じた痕跡は見当たらない)。山本説は「五人の貴公子の求婚」の段を五陽一陰の卦である姤卦、および夬卦の爻辞にあてはめている。長女である巽卦のうえに「金を示す」とされる乾を重ねた姤卦、およびその反転である夬卦とする。しかし本稿…
神武天皇の皇子、神八井耳命 (かむやいみみのみこと) は第二代・綏靖天皇の兄御子で、多氏の祖とされている。 日本書紀は畝傍山の北に葬られたと記す。 かつて八井神社と称されていたとされる八幡神社 (橿原市山本町) の本殿がたつ、盛り土状の小丘が、その神八井耳命の墳墓であると見做されている。 ~目次~ 八幡神社 御陵山 神功皇后信仰 畝火山口神社 仙洞御所 陽物信仰 おわりに 八幡神社 橿原市山本町 (旧 山本村) の集落からすこし離れて、畝傍山の山中にあしを踏み入れたとき、ちいさな八幡神社を見過ごさずに立ちどまれたことは、幸運だった。それは八幡神、あるいは村の鎮守といった言葉から想像されるたたず…
(2024/3/25) 『日本怪異妖怪事典 九州・沖縄』 朝里樹(監修)、闇の中のジェイ(著) 笠間書院 2023/9/30 <鬼八 (きはち)> ・走健(はせたける)(または「はしりたける」と読む)、鬼八法師、鬼八三千王とも呼ばれる。鬼八は熊本県阿蘇の豪士とも、宮崎県高千穂蘭の里の部族の長、宮崎県二上山乳ヶ窟(ちちがいわや)を根城にしていた魔性の者ともされる。 ・熊本県では次のように伝えられている。 阿蘇大明神こと健磐竜命(たけいわたつのみこと)は鬼八という豪傑を家来にしていた。健磐竜命は弓の名人であり、弓を射ることを楽しみにしていた。鬼八は空を駆けるように足が速く、また怪力を有していて、健…
仏間の硝子棚より。 ・講談社現代新書256 堀一郎『日本のシャーマニズム』昭和四六年七月一六日第一刷発行 昭和五二年二月一〇日第三刷発行・定価=390円・228頁日本のシャーマニズム (講談社現代新書 256)作者:堀 一郎講談社Amazon 昨年の7月27日にメモして、祖母宅に残して来たはずである。 その後、整理が滞ってしまって、似たような本を幾つか持ち帰っていたのにこの記事も、この1冊だけメモして投稿しないままにしていた。 今回、それら似たような本のメモも取って、遠からず新古書店等に持ち込むつもりである。 祖母はこういうことに興味があったらしいが、どうも、私は、興味が持てない。 次の本は客…
一応整合させて概念の類を使いこなす形から議論用のことばの羅列を演じのけるならば、それなりの姿として玄人筋、というよりは標準形を保つことに人生を賭す脈々が、お見事と認知の方で受け止めてくれそうだ。 だから概念以前の状態として事象を改(あらた)めて整理する必要をだれかが感じた時、ちょっとした野心というか、多少は住み心地の良い住居も自らの資金によって建てたいし、そこでの家庭っぽい集団の営みにも人生を置きたいし、そのためには仕事場を確保しておきたいし、などなどが頭に浮かび出して、標準の問いへ標準の答え方、正解の類で応じることもイメージできるだれかたちにとっては、ちょっとよりはそれ越えの危ないかもの方で…
幕末の文久年間に、現在の四条ミサンザイが神武天皇陵と治定される際には、そこからすこし離れた畝傍山の尾根のうえにある、墳丘状の丸山と呼ばれていた場所も有力な候補地だった。 遠く歴史の向こうに置いてこられたまま、いまでは顧みられることさえまれな、その丸山を訪ねた。 tabinagara.jp ~目次~ 洞村について 全村移転 村人の息づかい 丸山宮址 洞之清水 (洞) 穴のちから おわりに 洞村について 全村移転 神武天皇陵の参拝道から、石段をのぼったさきに西へとぬける脇道がつづいている。 その道にそうようにして、かつて洞村という集落が存在した。 しかし明治以降、政府や奈良県などが推し進める畝傍山…
今をさかのぼること30年前、ある老人が大阪・岸和田でその生涯を終えた。 もと産婦人科医。生涯を懸けて「物質民俗学」なる学問をとなえ、岸和田の史跡研究から発展した「松浦佐用姫伝説は土木工事伝承」「鬼・修験は産鉄民」「河童は渦巻である」などの主張をみずから発行するミニコミ誌で発表し続けた。まだ鉱山業を知る人物が日本列島に点在した昭和30年~40年代、ときには所属する医師会の旅行に便乗するなど、フィールドワークを綿密に重ねていた。其の説は(偏屈な彼の気性もあってか)はじめ首肯する人物は多くなく、少しでも興味を示した人間には彼の質問攻めに遭い、そのミニコミ誌――『和泉民俗』『泉州情報』が毎日のように送…