東海大学落語研究部の七年後輩に、頭下位亭五十歩(とうかいてい ごじゅっぽ・湯川)と言う男が居た。 彼は細身のいい男で、初めて見た時の印象は、俳優の篠田三郎さんの様だった。彼は同期の兵枝(ひょうし・脚本家の穴吹一朗)と一緒に学生劇団を立ち上げた中心人物だ。 兵枝と一緒に、テレビで素人コントを披露したり、深夜テレビの学生落語の大会で優勝したりと、アマチュアとしては華々しい学生生活を送っていた。 私が放送作家として、やっと、まともなお金が取れるようになった頃のことだ。 師匠のМが「小林!誰かうちの事務所に入る新人はいないか?」 うちの事務所は志願の弟子入りではなく、師匠の事情で求人するという異端のシ…