I have a dream. 一見、普通に使えば何の変哲もない文なのだが、よくよく考えると意味深いものになってしまう。アメリカの公民権運動(黒人解放運動)の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の誰もが知る1963年のリンカーン記念堂での演説中の名文句だからである。これを意識した途端、人前で「私には夢がある」、と言うのに気後れしてしまう。気恥ずかしくなってしまう。牧師の夢の到達点が尋常ならざる高さにあるからである。だからと言って今更自分の夢を変える訳にもいかない。 それは百年前のリンカーンの「ゲティスバーグ演説(人民の人民による人民の為の政治)」に比肩する名演説になった。ただ牧師は皮肉にもそ…