君のためなら千回でも

田所（2007）は、テレビ・バッシングは、テレビの自作自演性を、オーディエンス共同体において楽しむことが困難になったとき、テレビ攻撃として生まれたとする。「やらせ」という言葉は一九七七年頃定着していくが、その頃の週刊誌上でのテレビやらせ記事は、「テレビの裏側を知る」というゲームの材料を提供するもので、テレビのやらせ的振る舞いを鑑賞すべき芝居として受けとめる参加感覚が存在し、テレビの自作自演ぶりを消費することで共同体感覚が享受されていた。もちろん一方で、六〇年代からテレビ・バッシングは存在したが、以前は「低俗番組批判」「悪影響論」という名目での批判であり、そこではまだテレビによって侵入される受け…