ナンバースリーの値打ちということを、しきりと考えた年頃があった。会社員だった時期だ。 周恩来の人柄についての、称賛の弁は多い。風貌・物腰・表情からも、世界に好印象を振撒いてきたにちがいない。毛沢東には田舎のトッツァンめいた、頑丈で剛直な人といった印象があるが、周恩来にはしなやかなジェントルマンの印象がある。 しかし共産党草創期からの闘争において、つねに毛沢東と苦労を共にしてきた人だ。もの柔らかなバランス人間なんぞと片づけられる人であるはずがない。 たび重なる党内の路線対立や権力闘争にも、破れずに来た。つねに党内第三位か第四位かの地位にあって、しかも抜群の実務処理能力を発揮してきた。党内第二位に…