哲学者(1889-1960)。 旧制第一高等学校在籍中、歌舞伎座に出入りし、脚本演出を手伝う。 東京帝国大学卒業後、ハイデガーに師事する。 帰国後、日本古来の「風土」や東洋の伝統的特質を考察し、独自の思索を展開する。
『風土―人間学的考察』 『自叙伝の試み』 『イタリア古寺巡礼』 『桂離宮―様式の背後を探る』など
引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "しかるに世間・世の中という言葉は、右のごとき社会の意を現しつつ、なおその上に古い伝統に従って何らか場所的なもの、絶えず推移するものという意を含んでいる" P37『人間の学としての倫理学』 三島由紀夫 "少し長くなりますが私の法秩序に対する考えを簡単に申しますと、私はこれからの日本にとってあぶない考えが一部にあると思う。それは秩序のためならイデオロギーなんかどうでもい…
(1) 「日本人の精神風土」を基準とする賃労働者への不信感の表明 黒田寛一は『実践と場所第一巻』(こぶし書房)で、「賃労働者としての日本人も、日本人らしさのようなものを喪失して無表情になり、日本人の精神風土とはおよそ無縁な存在になりさがり、彼らの感情も情緒も情動も干からびたものになっている。」(黒田前掲書572頁)と書いた。疎外された労働を強いられている労働者が、たとえばコールセンターで顧客からの理不尽なクレームに対応させられ、あるいは秒単位で作業効率を計測される倉庫作業で疲れ切り、何も考えずにひとりになりたいと思う彼、彼女らが、「無表情」でいてはいけないのか。むしろ、黒田はかれらの無表情の中…
読んだ本 引用元:版元ドットコム ゲーテ『ゲーテ全集 13 新装普及版』潮出版社 (2003) 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 三作目の小説を本格的に書き始めた。 一作目と二作目を繋ぎ合わせ、物語を再構成していきたい。 ベンヤミンが「力は即興にこそ宿っている」と書いていた。即興といえば、個人的にはフリースタイルラップ(即興ラップ)に最近魅了されている。暴言も多いが、勝ち残っていく人たちが紡ぎ出す言葉には力を確かに感じ…
76 古代の日本において尊ばれた、神や他人を欺かず偽ることのない心のありようを、漢意という。 ✕「清き明き心」。漢意は国学で否定された外来思想。 77 古代の日本において見られた、自然物や自然現象すべてに精霊が宿るとする信仰を、神仏習合という。 ✕「アミニズム」と言う。神仏習合は、仏教の中に日本の神々が融合され、一つの信仰体系として再構築されたたことを言う 78 古代の日本における、山川草木などのすべての自然物に霊魂が宿るというアニミズムの思想があり、この思想は、社会秩序を重んじるものであり、これを乱す行為を罪や穢れとして忌み嫌った。 〇 ケガレを忌み嫌う → 祓い・禊が求められることになる。…
比較ワイン文化考教養としての酒学麻井宇介 著中公新書昭和56年5月15日 印刷昭和56年5月25日 発行 (1981年) ワイン仲間が読んで興味深かったという話をしていたので、図書館で借りてみた。1981年の本で、かなり年季が入っている。書庫の本で、かつ、図書館圏内で「1冊」とのシールが貼ってあった。 そして、なんとまぁ、、、、こんなの初めてだわ、、、ってくらい、書き込みが、、、。かぎかっこや、傍線が沢山、、、、。多分、鉛筆。時には、文字の丸囲みも。でもなぜか、薄茶色に日焼けしたページに鉛筆の線は嫌な感じがせず、あぁ、誰かもこの本を興味深く読んだんだな、、、と、書き込みをした人にちょっと親近感…
ハイデッガーと和辻哲郎の言うところの人間存在についてメモ程度にまとめておく。 ハイデッガーは、人間と世界との関係について、人間は「世界-内-存在(In-der-welt-sein)」であることを指摘した。「sein in」とはおよそわれわれの通常の対象の捉え方であって、たとえば、「コップの中に水がある」、「タンスの中に衣服がある」といったものである。これに対して、「in-sein」とは、文法的根拠は明確ではないにせよ、ハイデッガーによると人間と世界との関係を表している。つまり、人間は水がコップの中にあるように世界の中にあるのではなく、人間は言わば世界の内に住みつくのである。空間の中にものがある…
日本の風土とわたし 風土は人の心や性格や、人と人の関係のあり方に深くかかわってきます。 人々が暮らす共同体では、長い年月をかけて知恵を出し合って社会を作ってきたわけで、その知恵が人が使う言葉に表れてくるのは当然だといえます。 「目には目を、歯には歯を」とは、人が誰かを傷つけた場合、その罰は同程度のものでなければならない、もしくは相当の代価を受け取ることでこれに代えることもできる、という意味です。 では、殺された場合はどうするか?というと、本人はもういないので、代わりに主として身内が相手を殺すということになります。 江戸時代には、殺された武士の身内の仇討という形で、義務としての報復がありました。…
欧州航路の文化誌 寄港地を読み解く 表紙 欧州航路の文化史寄港地を読み解く橋本順光 鈴木禎宏 編著青弓社 発行2017年1月27日 第1刷幕末から1960年前後まで、日本から欧州への旅路として利用された欧州航路。本書では、欧州航路によって生みだされた膨大な旅行記を海洋文学として再評価し、航路が形成したメンタルマップを寄港地の順に取り上げ、同時に和辻哲郎の洋行と『風土』とを再評価しようとしています。序章 欧州航路の文学 船の自国化と紀行の自国語化1 欧州航路前史 イギリス東洋航路の逆転と領土化2 欧州航路の発展 自国化と自国語化3 大学助教授の洋行 義務としての欧州漫遊第1章 欧州航路の起点と原…
「古寺巡礼」 by 和辻哲郎 岩波文庫 1991年1月24日 第一刷発行 (元資料は、1947年3月「古寺巡禮」) 大正七年の五月、20代の和辻は唐招提寺・薬師寺・法隆寺・中宮寺などの奈良付近の寺々に遊んださい、飛鳥・奈良の古建築・古美術に相対し、その印象を若さと情熱をこめて書きとめた。 元祖、「美の旅エッセイ」、というかんじ。 20代の旅の記録ということで、全体に本当に若々しい感じがする 。 壁画、仏像、観音様、それぞれに彼が感じた感想が若々しいのである 。 絵や仏像として目にした美しい女性の姿に、果たしてこれはどのようなモデルだったんだろうか、と考えを巡らせたり、昔の時代の女性の生き方に思…
安部公房『他人の顔』を読む。ストーリーはともかく、顔と人格をめぐっていろいろと考えさせられた。 ギリシャ神話にある物語で、暗闇の中だけで愛し合っていたエロスとプシュケの関係が破綻するのは彼女が彼の顔を見たいと欲したからだった。 顔を見なくても(見ない方が?)愛し合えるのは、決して素顔を出さなかった源氏物語の女たちを考えてもわかる。 すべてが白日に照らされるいまの時代、裸の素顔をさらして生きるのには勇気が要る。裸なのが恥ずかしくて人は服を着るのに、なぜ顔だけは裸のままで平気なのだろう。 村上春樹がどこかで書いていたけれど、自分はぜったいにテレビに出たくない、もしどうしてもといわれたら熊か何かの被…
五 好尚塔の絵葉書柳田所有の欧州の塔の絵葉書独逸「ケルン」大寺の塔仏蘭西「マルセーユ」の「ノートルダム、ド、ラ、ガルド」同 巴里の「ノートルダム」洪牙利「ブダペスト」の「マチアス」寺英吉利「ウエストミンスター」寺 二枚英吉利「ストラトフォード、オン、アボン」の紀念塔同 倫敦、聖波羅寺 p166-167趣味のいろいろマッチ商標の採集閉雲集 わが愛誦吟芭蕉の連句アンケート 私の愛誦する去来作品とその鑑賞 野川にそひて 砧村から武蔵野村に至る時 三月二十五日晴天。暖か。人 柳田國男氏 小野武夫氏 今 和次郎氏柳翁閑談 すずめスズメが親孝行な鳥で、親の死の知らせをきいて、化粧半ばでかけつけたという、ス…
ツイート うえ田ボビ夫@福祉と心理が好きな人 @bobby_tubuyaki 漠然とした不安ほど恐ろしいストレスはありません。 私は恐怖よりも不安の方が病みやすいと思います。恐怖は対象を特定できますが、不安は対象を特定できないからです。 だから不安は全て紙に書き出します。 外に出して客観視すると不安の正… https://twitter.com/i/web/status/1632848526890909697 06:44 タノソ @hesonogomanai 8回吐いた https://twitter.com/hesonogomanai/status/1632374358445551624 1…
3月1日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句)母子草その傍の優しき父 雅舟 【花】 ハハコグサ(キク科) 【花言葉】 いつも思う優しい人 【短歌】母子草その名教えし一瞬の母のない子の表情を忘れず 養護施設に預けられた子供たちと、庭掃除をしていたとき のことでした。花の名前を聞かれ「母子草」と教えました。 その時、あの子の見せた硬い表情を忘れません。 【季語】 母子草 父子草 ごぎょう(春の七草) 【俳句】 母子草母逝きてより身近なり 神田 豊子 猫の眼の高さに咲けり母子草 西園寺明治 我ら知らぬ母の青春母子草 寺井 谷子 【三行詩】 優しい人は誰も「母」なのか 心の海に…
「鎌倉市川喜多映画記念館 ポスターからみる映画の楽しみ」『はまかぜ』554、2023 神奈川県のフリー・ペーパー。 東和商事(現在の東宝東和)の創業者、川喜多長政*1、川喜多かしこ夫妻の旧居跡にある鎌倉市川喜多映画記念館*2で『映画分類学入門――ジャンルで読み解くハリウッド』という展示をやっているよという記事なのだけど、今回注目したのはこのことではない。 [記念館の]隣りにある旧川喜多邸別邸は、哲学者の故・和辻哲郎*3が住んだ東京都内の江戸後期の民家を1961年に川喜多夫妻が移築したもの。畳にイスとテーブルを配置した居間や書斎は海外から訪れる映画監督や、アラン・ドロンなど名だたるスターを迎える…
東慶寺の御朱印は全て書置き対応で、境内は全域で撮影禁止になっていました。北鎌倉の歴史ある縁切寺として知られており、一年を通して何かしらの花を楽しむことが出来ます。 東慶寺の御朱印 御朱印所 御朱印 過去に頂いた御朱印 東慶寺の歴史 北条時宗夫人が建立した東慶寺 40万石の大名をはねつけ東慶寺の権威を確立した20世住持 明治になって尼寺としての歴史を閉じる 縁切寺とは? 話がつけば女性からでも離婚できた 話がつかないと「駆け込み」が必要 家庭裁判所のようなことまでやっていた アクセス 交通 地図 境内は撮影禁止 山門 参道 鐘楼 茶室「寒雲亭」 本堂 水月堂 金仏 茶室「白蓮舎」と菖蒲畑 松ヶ岡…
時代は太平洋戦争が終わってすぐの頃。主人公・土岐数馬は三高理科を卒業後、文学部哲学科に進路変更し、西田幾多郎の門下で、とくに宗教哲学の分野で芽を出しつつある優秀な哲学の徒。三高教授と京大講師を掛け持ちしている。 そんな彼のところに東大寺塔頭観音院住職から、大乗仏教の最高経典である華厳経の60巻のドイツ語に翻訳し、世界各国、特に西欧の宗教・思想関係の機関・大学に贈呈しようという大きな仕事が持ち込まれる。華厳経は釈迦の悟りの内容をそのまま叙述したものとされており、そのドイツ語化が実現すれば思想の深遠・豊潤さにおいても、規模の壮大さにおいても空前のものとなることは間違いない。 しかし彼は躁鬱病という…
はじめに 和辻の『倫理学』とはどういう本? 行為とは何か 人間存在の空間性 人間存在の時間性 空間性時間性の相即 信頼 真実 真言としての「まこと」 真事としての「まこと」 根本悪 人間の善悪 和辻の行為論とVRChat フレンド申請 初心者案内と出会い厨 フレンドのフレンド まとめ 参考文献 はじめに 自身の専門である行為論とは別の行為の説明として、和辻の行為論があると聞いたので、天神のジュンク堂が移転する前のセールで買った中古の和辻の『倫理学』を引っ張り出してとりあえず「第二章」まで読んでみたところ、そこで展開されている議論がなかなか面白かったので、こうしてブログの形で共有したい。 和辻の…
昨日、法政大学 大原社会問題研究所(大原社研)HPのデータベースに、権田速雄氏が寄贈した未公開の「権田資料」のデータが公開されました。大原社研HPの「資料検索」ボタンをクリックして、キーワード「権田保之助」で検索すると2,430件がヒットします。その内、DB名に「OISR.ORG統合データベース」と書かれた2,356件のデータが、今回新たに公開された「権田資料」です。 [大原社研HP]https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/ 明治から昭和初期の権田保之助の封書・書簡・葉書が全体の半数弱を占め、講演原稿なども多数登録されています。外遊時に購入したと思われる絵葉書や旅行案内…
お久しぶりです。倉山田です。 前回の更新からかなり時間が開きましたね。私生活が忙しかったということにしておきましょう。 さて、今日は本の話題です。私は今年は毎月5000円は本に費やそうと決意しました。貧乏学生ですがとりあえず本に囲まれた生活をしてみたい。 というわけで先月1月に買った本を紹介したいと思います。 ・土井善晴『一汁一菜でよいという提案』(新潮文庫) ・佐藤勝彦監修『「量子論」を楽しむ本』(PHP文庫) ・宮崎一定『科挙 中国の試験地獄』(中公新書) ・関口良雄『昔日の客』(夏葉社) ・渡辺秀英『良寛詩集』(木耳社)(古本) ・和辻哲郎『古寺巡礼』(岩波文庫)(古本) ・高階秀爾『近…
本を買った。島薗進編『政治と宗教――統一教会問題と危機に直面する公共空間』岩波新書、2023政治と宗教: 統一教会問題と危機に直面する公共空間 (岩波新書 新赤版 1957)作者:島薗 進岩波書店Amazon岡本隆司『曾国藩 「英雄」と中国史』岩波新書、2022曾国藩 「英雄」と中国史 (岩波新書 新赤版1936)作者:岡本 隆司岩波書店Amazon中江有里『100分de名著 北條民雄『いのちの初夜』 生命を生ききる』NHK出版、2023NHK 100分 de 名著 北條民雄『いのちの初夜』 2023年 2月 (NHKテキスト)作者:中江 有里NHK出版Amazon また、ブックオフにて。酒井…
・ 芸術作品の根源 <平凡社ライブラリー 645> マルティン・ハイデッガー 著 ; 関口浩 訳 2016 平凡社 ・ 神について : ハイデッガーと問い <平凡社ライブラリー 674> ジャック・デリダ 著 ; 港道隆 訳 2009 平凡社 ・ 三つのエコロジー <平凡社ライブラリー 651> フェリックス・ガタリ 著 ; 杉村昌昭 訳 2008 平凡社 ・ 秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本 <光文社新書> J・ウォーリー・ヒギンズ 2018 光文社 ・ 倫理学 全4巻揃 和辻哲郎 著 2010 岩波書店 ・ 断崖 全5冊揃 改版 ゴンチャロフ 井上満 訳 2010 岩波書店 ・ …
「今回、長岡の方々と稽古をしながらつくづく思ったのは、北方の人ブラームスの音楽が越後の人々の気質にとてもよく合っているということ。何事にも石橋を叩くような慎重さ、外へ向かってアピールするよりは内に秘める情熱、享楽的であるより勤勉であるということなど。南方系の陽気な人々には出せない重み、真摯さなどが作品と重なって美しい情緒を見せてくれるのである」(福島章恭さんのご著書より) お怒りの方々は多いと思う。特に温かい地方にお住まいでブラームスの音楽を愛好するクラシック音楽ファン…。まこと噴飯物の理屈だ。ただ、あながち荒唐無稽ともいえないのは、和辻哲郎も名著『風土』のなかで同じようなの考察をしていること…