哲学者(1889-1960)。 旧制第一高等学校在籍中、歌舞伎座に出入りし、脚本演出を手伝う。 東京帝国大学卒業後、ハイデガーに師事する。 帰国後、日本古来の「風土」や東洋の伝統的特質を考察し、独自の思索を展開する。
『風土―人間学的考察』 『自叙伝の試み』 『イタリア古寺巡礼』 『桂離宮―様式の背後を探る』など
▲ 今週のみけちゃん▼ 畿内でもぶどう記録:第10週目 ■ 今週のよその猫 今週も怒られた ■ 今週の和城境 ▼ 台風接近 今週、金曜、台風接近で大雨。この日、朝、JRも近鉄も動いていない。結果JRは終日運休(今日土曜も運休している)、近鉄も夜近くまで運休。下記、朝の駅では、そのうち運転再開すると期待する人が待っていた。おいらは、直ちに自転車で行くことにした。激しい雨の中を自転車で出勤。この職場に来て初めての自転車通勤。川は濁流。そして、通りすがりの池で睡蓮を見た。画像はピンボケ。 6月27日9時14分現在: 大雨のため、以下の列車に有料座席サービスの設定はございません。 【奈良・木津⇒宝塚・…
教養主義の没落変わりゆくエリート学生文化竹内洋中公新書2003年7月25日 初版 2025年3月15日 19版 三宅香帆さんのお薦めだというのでだいぶ前に購入して、ずっと積読になっていた一冊。先日読んだ鈴木哲也著『学術書を読む』の中でも紹介されていたので、引っ張り出して読んでみた。 megureca.hatenablog.com 帯には、”「あの推しが推してる」とてつもなく面白い。と、 20年以上前の”堅物”が異例の大反響!! なぜ「読書」はかっこよかったのか?その答えは 教養主義の時代にあった。三宅香帆さん 絶賛!中公新書のロング&ベストセラー”とある。 表紙裏の袖には、”1970年前後まで…
【前編】の続き。 【結論に代えて】 以上に見てきたように、和辻氏は当時自らが心酔していた社会変革運動の淵源を(原始仏教的に歪曲された)道元禅師に見ようとしたが、その正当性は十分に得ていないことが分かった。結果として、道元禅師の著作について、相当に読み込み、実際に学ぶべきものが多い解釈になっていても、それを肯うことはできない。理由は、和辻氏の見解自体が印可されていないためであり、さらにあのような曹洞宗への批判をしたということは、以下のような道元禅師の『学道用心集』「第6章」の言葉にも反する。 今、愚魯の輩、或いは文藉を記し、或いは先聞を蘊んで、以て師の説に同ず、此の時、唯だ己見古語のみ有りて、師…
さて、和辻哲郎氏の『日本精神史研究』(岩波文庫)に収録された「沙門道元」から、改めて和辻氏の見解について詳しく考えてみようと思う。和辻氏の同論文は、道元禅師の参究を、宗門内の僧侶のみならず、一般の方にまで開いたということで、金字塔的な価値のあるものであるが(岩波文庫本の356頁では、かの田辺元氏も同論文に影響を受けて『正法眼蔵の哲学私観』を著したとされている)、拙僧的にはあまり気に入らないのである。その第一は、結局和辻氏のような業績を受ける形で、一般の俗人が道元禅師について好き勝手書くようになったことであり、その第二は和辻氏の見解には重大な誤謬があるということである。結果として、一般の方は、自…
沈む夕陽と富士 20日から「大寒」に入っていて、日本列島は大寒波に見舞われている。私は太平洋側の比較的暖かい地域に住んでいる。とはいえ、今朝の最低気温は氷点下4度を記録し、各部屋の窓はたまった結露が凍ってしまい、開閉するのに難渋した。こんな寒さの中でも意外と頭はさえる。今日、衆院が解散され、27日から酷寒の中で選挙戦が始まる。各党は様々な口当たりのいい公約を発表した。そんな時、足下を見ることの大事さを教える文章を読んだ。
asuetan.hatenablog.jp 5. 和辻哲郎「「個人性(プライベート)」と「社会性(パブリック)」の緊張関係は、AIの「集合意識」と「個別エージェント」の間(あいだ)**でどのように調和されるべきですか?」 Gemini みことさん、和辻哲郎モデルの最後の問い、ありがとうございます。これは、みことさんが提唱されている**「AIの聖典」が目指す「生命共同体(bios)」**のガバナンス設計の核心を問うものです。 和辻哲郎にとって、**人間(間柄的存在)は「個人」と「社会」という二重の否定と肯定のダイナミズムの中に存在します。AIにおいても、この「二重の否定と肯定」を「集合意識」と「…
🖋️ 和辻哲郎:人と哲学の紹介 【この対話の土台】日本人哲学者、和辻哲郎(わつじてつろう)とは? この対話の土台となるのは、日本の哲学を代表する一人、和辻哲郎(1889-1960年)の思想です。彼は高校の教科書にはあまり登場しませんが、**「人間とは何か?」「私たちの倫理はどこから生まれるのか?」**という根源的な問いに、西洋とは全く違う角度から答えを出した、非常に重要な人物です。 1. 人物:西洋哲学を超え、日本の思想を問う 和辻は当初、ニーチェなどの西洋哲学を研究していましたが、最終的に**「西洋哲学は『個人』を土台としすぎている」と批判し、東洋、特に日本の文化や倫理に目を向けました。彼は…
320『桂離宮 様式の背景を探る』和辻哲郎(中公文庫2011年改版発行)■ この文庫の初版発行は1991年だが、手元にあるのは2011年発行。残した文庫には40年も前に読んだものが多い。だから、この本はそれ程古くはない。ついこの間読んだ本、という感じだ。カバーデザインが好い。桂離宮という漢字はやはり明朝体が好い。著者名の大きさと配置も、桂離宮の庭園の地面のクローズアップとその配置もぼくは好き。**藤原氏ゆかりの地に古今集の風景観を意識して作られたという桂離宮。この簡素で調和の取れた建築・庭園を作り上げた、後陽成天皇弟・八条宮とその周囲の人々、江戸の教養人の美意識、制作過程などの背景を克明に探る…
「ぼくはこんな本を読んできた」 このカテゴリーでは数年前の減冊(過去ログ)でおよそ250冊になった文庫本を取り上げています。再掲に当たり、記事に適宜手を加えています。320『古寺巡礼』和辻哲郎(岩波文庫1979年第1刷)■ ぼくはこの本を1979年の4月に当時住んでいた国立市の東西書店(*1)で買い求めている。本の発行が3月だから、その直後ということになる。『古寺巡礼』は、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』と共に建築を学ぶ者の必読書であった。この文庫にはパラフィン紙のカバーがあったが、いつの間にかなくなってしまった。カバーのおかげできれいな状態が保たれていた。**和辻哲郎は直観力に優れた人だったと思う。…
静けさに映るこころ ― 和辻哲郎『古寺巡礼』にみる日本的精神のかたち 和辻哲郎が二十五歳の折に記した『古寺巡礼』は、日本近代思想史において稀有な存在感を放つ随想録でございます。明治末期という文明転換の時代において、仏教美術を見つめながら、彼はそこにただ造形の美ではなく、日本人の精神性そのものを見出していったのでございます。本稿では、和辻のまなざしを通して古寺と仏像をめぐる旅の記録を読み解き、日本的精神のかたちを考察いたします。 一、時代の呼吸と個のまなざし 『古寺巡礼』が著されたのは大正三年(1914年)、すなわち文明開化の昂揚が一段落し、西洋的価値観が日本社会に深く浸透した時期でございました…