源氏よりは八歳上の二十五であったから、 不似合いな相手と恋に堕《お》ちて、 すぐにまた愛されぬ物思いに沈む運命なのだろうかと、 待ち明かしてしまう夜などには 煩悶《はんもん》することが多かった。 霧の濃くおりた朝、帰りをそそのかされて、 ねむそうなふうで 歎息《たんそく》をしながら源氏が出て行くのを、 貴女の女房の中将が格子《こうし》を一間だけ上げて、 女主人に見送らせるために 几帳《きちょう》を横へ引いてしまった。 それで貴女は頭を上げて外をながめていた。 いろいろに咲いた植え込みの花に心が引かれるようで、 立ち止まりがちに源氏は歩いて行く。 非常に美しい。 廊のほうへ行くのに中将が供をして…