昨年11月の大阪古書会館で「井上先生校閲」とある『妖怪変化之本性:理化応用』(中村天神堂、明治32年4月)を発見。妖怪関係で井上先生と言ったら井上円了だし、表紙にある「哲斈会」(哲学会)は円了が明治17年に創立した団体で『哲学会雑誌』の発行所なので、買ってみた。15頁、3千円。東洋大学附属図書館を含めて、どこの図書館にもないようだ。 「校閲」とはあるものの実際は円了が執筆もしたと推測して、調べてみた。円了の妖怪学関係の論考については、『井上円了選集』21巻(東洋大学、平成13年5月)に「妖怪学総索引」が存在する。これを使って、本書の「こつくりの伝来と方法及原因」など幾つかの記事を円了の文章と比…