※有佐一郎『学級文庫シリーズ ; 4・5年生 石川啄木 : 薄幸の歌人』(日本書房、1957年)の挿絵 ある日のこと、主人公の代用教員・新田耕助は自作の「校歌」を子供たちに勝手に歌わせた一件で、校長と首座訓導の古山から注意を受けました。 古山が先づ口を切つた。『然し、物には総て順序がある。其順序を踏まぬ以上は、……一足飛に陸軍大将にも成れぬ訳ですて。』成程古今無類の卓説である。 校長が続いた。『其正当の順序を踏まぬ以上は、たとへ校歌に採用して可いものでも未だ校歌とは申されない。よし立派な免状を持つて居らぬにしても、身を教育の職に置いて月給迄貰つて居る者が、物の順序も考へぬとは、余りといへば余り…