第3章 歯を20本以上残せば転倒しにくくもなる 前述の山本先生らの研究グループの業績から、興味深い研究をもう1つ紹介しましょう。 この研究では、歯と義歯の状況と「転倒リスク」の関係を調べています。 高齢者が転倒で骨折をして長期の入院を強いられると、「寝たきり⇒要介護⇒認知症」と進行することがあります。 山本先生らは、65歳以上の健常者で過去1年間に転倒した経験がない人1763人を対象として、歯と義歯の使用状況を質問紙で調査のうえ、その3年後に過去1年間に2回以上転倒したかどうかを調べました。 その結果、年齢・性別・要介護認定の有無などにかかわらず、自前の歯が19本以下で義歯を使用していない人は…