紫被布のお連:橋本埋木庵 1903年(明36)金槇堂刊。前後2巻。 タイトルの「被布」(ひふ)とは現代人には馴染みが薄いが、和装用語、高貴な婦人の和服の上にはおる上衣のようなもの。(画像参照) 被布 huaban.com これも探偵実話の一つで、明治中期、東京横浜を中心に強盗と殺人を平気で冒し続けた毒婦お連の浮沈の人生。何よりもなかなかの美人であり、探索方の追求を巧みにかわしながら逃亡し、その先々で美貌と巧言を武器に身を隠す術は見事というしかない。つまり男どもはどうしても美人に敵わないということに尽きる。連載115回の長丁場になる埋木庵の豊潤な筆力は平面的ながらも読ませる。ややネタバレになるが…