山本志乃『団体旅行の文化史:旅の大衆化とその系譜』(創元社、令和3年9月)135頁は、明治期に男子から女子へと広がった修学旅行の例として奈良県女子師範学校を挙げている。奈良県師範学校に女子部が開設された明治35年の翌年大阪の内国勧業博覧会に出かけたのを始め、38年に奈良県女子師範学校として独立して以降は、回数が著しく増加したという。当初は日帰り旅行だったが、宿泊を伴う修学旅行として、明治40年初めて3泊4日で伊勢、大津、京都などを廻った。 では、戦前の個人としての女学生は、どのような旅行をしていたのだろうか。これは、中々わからない。先日平安蚤の市でナンブ寛永氏から200円で買った旅行計画の冊子…