●歌は、「狛山に鳴くほととぎす泉川渡りを遠みここに通はず(田辺福麻呂 6-1058)」である。 【狛山】 「田辺福麻呂(巻六‐一〇五八)(歌は省略)・・・鹿背山の頂上から北方、木津川(泉川)をはさんで対岸に見えている山が狛山(こまやま)である。木津から北に泉大橋をわたった上狛(かみこま)(木津市山城町)一帯は、舒明天皇のとき高麗からの帰化人をおいたところ(『書紀』)で、・・・上狛の東方の神童子(じんどうじ)山(二〇五・六メートル)が狛山で、恭仁宮址からは西方に見えている。・・・法花寺野(ほうけじの)には川岸と山すそとのあいだにわずかの低地部があって、・・・元明天皇以来、聖武天皇の行幸もあった甕…