Key words;十力の金剛石,国際信号旗,野ばら 『十力の金剛石』(1921年)には王子と大臣の子の2人の少年が登場する。王子は,2人で自分の持っているルビーよりももっといい宝石を探しに森へ出かける。しかし,「サルトリイバラ」が王子の着物に鉤(かぎ)でひっかけて引き留めようとする。「サルトリイバラ」(猿捕茨;Smilax china L.;第1図)とはユリ科に分類され茎に鉤状の棘(とげ)のあるつる性低木である。根茎(こんけい)を菝葜(バツカツ)と呼び,排膿薬(はいのうやく)・解毒薬とした。 第1図.サルトリイバラ. 王子は,この解毒薬にもなる「サルトリイバラ」を自分の剣で切って,森の奥へ入…