目が覚めるようなといういう言葉がふさわしい、あざやかで若々しい『白波五人男』が見もの。尾上右近の弁天小僧と坂東巳之助の南郷力丸をはじめとして、この作品の次世代のあらたな可能性をも感じさせる充実ぶりに満足した。 いうまでもなくこの作品は音羽屋・尾上菊五郎家のお家芸。初演をした五代目菊五郎、それを受けついだ六代目菊五郎はもちろんのこと、昭和においては七代目梅幸が、平成の世においては現当主・七代目菊五郎が、それぞれの時代においての『白波五人男』のかたちをつくりあげてきた。令和の世にあっては、もちろん尾上菊之助がそれを継承しており、彼の手で今後も上演を重ねていくだろう。ただあえていうとすれば、菊之助の…