あなたのイーデン・フィルポッツはどこから? と訊かれたら、「小学校の図書室から」と答える。子ども向けの探偵小説全集に「闇からの声」が入っていたのだ。たしか表紙には悲鳴を上げていると思しき子どもの顔が描かれていて、すごく怖い本のように見えた。とっくに死んでいるはずの子どもの叫び声が聞こえてくる、というあらすじも、探偵小説というよりホラーではないか。確かに読んだはずの「闇からの声」については、記憶がおぼろげだ。しかし、確かその本のあとがきか解説にあった、「イーデン・フィルポッツは近所に住む少女に創作のアドバイスを行っていた。彼女こそのちのアガサ・クリスティーである」というエピソードは今に至るまで記…