本名、杉浦英一。 1927年生まれ。名古屋出身。1952年一橋大学卒業。愛知学芸大学(現愛知教育大学)在職中の、1958年、「輸出」で文学界新人賞受賞。1959年、「総会屋錦城」で直木賞受賞。1963年、退職し、文筆業に専念。 『男子の本懐』、『鼠 鈴木商店焼き打ち事件』、『粗にして野だが卑ではない』などの小説を多数執筆し、「経済小説」というジャンルを成立させた一人者。 2007年3月22日没。79歳。
織元は、ダム建設に純粋に命を懸けている。なぜそれほど命懸けになるかは詳しく描かれていない。しかし、この小説が、足掛け8年に及ぶ補償交渉が1956年(昭和31年)に妥結した福島県只見川田子倉ダム補償事件をモデルにしていることを考えると彼の立場は理解できる。この頃の日本人は、戦争の痛手から必死に回復しようとしていた。織元も日本の復興のためには電力が必要であるとの信念でダム開発に取り組んでいる。言わば「公」の価値を体現する男だ。(城山三郎『黄金峡』講談社文庫、2010) おはようございます。福島県は只見町にある只見駅から歩いて5分くらいのところに「ふるさと館田子倉」があります。田子倉ダム建設に伴い、…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 私も若い頃は できれば仕事なんてしたくないと 恥ずかしながら考えていましたし、 もし働かなくても 食べていけるくらいの蓄えがあれば 仕事せずに毎日遊びたいと考えていました。 そうですね~ 20代から、30代前半の頃までは この程度だったかもしれません。 しかし30代半ばから後半に差し掛かると こういう稚拙な考えはいつの間にか姿を消して 世のため人のために働く意義のようなものを しっかり理解するようになっていました。 すると不思議なことに どんどん仕事ができるようになって なぜか結…
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします m(_ _)m さて、自らのブログを振り返る(番宣?)コーナーの後編は、経済小説7くくりと、雑記3くくりから取り上げます。 なお取り上げる作品は、一番好きな「小説」ではなく、「書評」を基準に選んでいます。 11 城山三郎・清水一行 経済小説10&10 1971年、三菱重工社長在職中に亡くなった牧田與一郎の物語。「野武士」のように三菱の風土を変えて行ったエネルギーは、その後の会社の進路も含めて毀誉褒貶がありますが、紙面から溢れ出るほどの迫力でした。そして本作品のブログを書く時に調べる過程で、牧田の子息の消息を知って慄然としました。 次点…
先月の読んだ1日平均ページ数は60ページでした。平均60ページを目標としていたのですが、今月は目標達成です。読了した本は以下の5冊です。一言感想を添えてご紹介します。 読書メーターより 1、検察側の証人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)アガサ・クリスティー著 クリスティーの法廷劇の脚本です。あるお金持ちの老婦人が殺され、そこに日頃出入りしていた青年に嫌疑がかかり、裁判になります。彼のアリバイを立証する唯一の人物は、青年の妻でしたが、彼女はそのアリバイを逆に覆そうとします。クリスティーの戯曲は初めて読みましたが、なかなか面白いですね。ちょっとした中篇小説を読んだ印象です。 2、帰ってきちゃった…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 私の個人的見解ですが、 ・人間について学ぶこと ・社会の仕組みを学ぶこと この2点に関しては 私たちの生存戦略として 必要不可欠ではないかと考えております。 問題は何をどうやって?なんですけど これは難しいです。 だいたい何を学べばいいのかは 正解のあるものではないと思われ、 とにかくアンテナをビンビンにして 感度良く目の前に現れたものに 突っ込んでいくことが大事じゃないかなと思います。 今回ご紹介する書籍は、 【 人間を読む旅 】 です。 本書をピックアップした理由 『 人間を…
1 本書の概要 経団連会長を6期12年務めた石坂泰三さんについて城山三郎さんが記した本です。 石坂泰三の世界 もう、きみには頼まない (文春文庫) [ 城山 三郎 ]価格: 693 円楽天で詳細を見る 石坂泰三さんは、逓信省の役人からスタートし、第一生命、東芝の社長を歴任し、大阪万博の会長も務めました。 高度経済成長の財界人の代表といった人物です。 その人を城山三郎さんが書く。 「部長の大晩年」が心に残っているわたしには、興味ある1冊でした。 2 城山風伝記 本書は毎日新聞に連載されていました。 なので、毎日なにかしらの山場を作る必要があったのかもしれません。 本書は、幼少期から壮年期に至ると…
経済小説・歴史小説を牽引してきた作家が、先立った妻を偲び綴っていた原稿。書評、マスコミ等々で大きな話題を呼んだ「鎮魂の書」。 彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる──。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは、亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ……。没後に発見された感動、感涙の手記。 <本文より> あっという間の別れ、という感じが強い。癌とわかってから四ヶ月、入院してから二ヶ月と少し。四歳年上の夫と…
「祖業を扱った作品」の第二弾は、城山三郎『臨3311に乘れ』(集英社文庫、1980年)。1948年に馬場勇をはじめとする5人のメンバーで成立した「日本ツーリスト」。「臨3311(サンサンイチイチ)」と呼ばれる修学旅行専用列車を走らせるなど、日本交通公社や日本旅行といった強大な先輩会社を敵に回しつつも、斬新なアイディアで旅行代理店業務の新市場を開拓していきます。ところが、信用も資本もない弱小会社の域を脱せず、事業は足踏み状態に。そんなときに、彼を助けたのが、近鉄の社長・佐伯勇でした。1955年、佐伯の支援のもとで、近畿交通社と合併し、「近畿日本ツーリスト」社が創設されます。かくして、「便利で快適…
2023年、最初に取り上げた作家は、城山三郎でした。彼は、実在した経営者をモデルにした経済小説をたくさん書いています。今回は、そのなかでも「企業の祖業」を扱った作品を二つ紹介したいと思います。ひとつは、信販会社の老舗で最大手の日本信販(1951年創設)の創業者・山田光成をモデルにした『風雲に乘る』。もうひとつは、日本ツーリスト(1948年創設。1955年に近畿交通社と合併して近畿日本ツーリストになる)の創業者・馬場勇をモデルにした『臨3311に乘れ』です。二つの作品から浮かび上がるのは、創業時に立ちはだかる高い壁と、それを打破していこうとする強い「信念・覚悟」です。このブログをご覧いただいてい…
経済小説というジャンルが日本で定着したのは、1970年代後半以降のことです。しかし、それ以前において、経済・企業・ビジネスマン・お金などを扱った小説がまったくなかったのかと言うと、けっしてそうではありません。高度成長期(1955年~73年)になると、企業の内幕、経営者の内面、人間の金銭欲や出世欲などに切り込んだ作品が、少しずつではありますが、持続的に刊行されることになるからです。具体的には、城山三郎、梶山季之、清水一行、山崎豊子などの作家を挙げることができるでしょう。なかでも、きわめて多数の作品を上梓したのが城山三郎と清水一行。のちに「経済小説の巨頭・パイオニア」として評価されるようになってい…
・ ・ ・ 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 現代日本では、将来の日本を案じて天下国家を論じ、未来のあるべき姿を目指して人の為、世の為、国の為に行動するのは愚か者とされている。 戦後民主主義教育を受けた現代の日本人は、戦前の日本人、昔の日本民族とは違う人間である。 ・ ・ ・ 2024年10月12日 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「「東大から霞が関のエリートコース」は過去に 東大生の官僚離れ進む 東京大学の安田講堂(photo 写真映像部・松永卓也) 東大生の就職先といえば、中央官庁や大企業というイメージが…
だんせい 海鮮居酒屋 わたし いくの? だんせい 盛岡市のおすすめ海鮮35ヶ所をセレクト! わたし いくき まんまん じゃん だんせい 宮古直送の海鮮居酒屋!! わたし みやこ ちょう いきたくない だんせい 日本人として高級和食店では恥ずかしい。 わたし はあ だんせい みやこまちに行こうか!」は大分県民にとって「飲みに行こうか!」と同じ意味 わたし みやこまち って なに? だんせい みやこまちは、福岡県の北東部に位置する町。京都郡に属す。 わたし みやこぐん って なに? だんせい 京都郡は、福岡県北東部に位置するみやこまちを含む郡で、景行天皇が滞在した場所であることに由来しています。…
急に寒い!なんなの!?と思ったけど、考えてみればもう10月半ばなわけで、ちょっと前まで冷房つけてたのがやばいっちゃやばい。地球…どうかこれ以上HOTにならないで…(人類のせいなんだけど、それはごめんなんだけど…) そんなCRAZYにHOTだったSUMMERこと7月~9月に摂取したエンタメを振り返りました。 溜めてたせいで相変わらず長いです。 映像 映画 《インサイド・ヘッド2》 映画 《ラストマイル》 ドラマ《MIU404》 ドラマ《アンナチュラル》 ドラマ《シスターズ》 Netflix《バレリーナ》 ドラマ《虎に翼》 書籍 マリリン・トールド・ミー (著)山内マリコ お砂糖ひとさじで (著)…
嫌だとて会社を辞める京大卒一年経たず何が分かるか 「公務員試験を受け直す」と言って会社を辞めるという京大卒の新入社員。でもですねー、かつて城山三郎さんがこんなことを言っていましたよ。「どこの会社に入っても、最初の十年間は下積みですよ。銀行なんかでも、窓口でお札の勘定をして、マッチ持って『こんにちは、なんとか銀行ですが』なんて言いながら、一軒一軒回って歩く。その繰り返しだからね。そのとき、おれはいったい何のために勉強したんだ、って、誰だって迷っちゃう。迷うだろうけど、どういう世界でも、最初から責任ある仕事につかせてくれるわけがないんだ。いまの若い人は、わりあい簡単にやめるっていうんだけど、最低三…
直木三十五賞(通称・直木賞)の1950年代の受賞作品一覧です。 目次 第23回(1950年上半期) 第24回(1950年下半期) 第25回(1951年上半期) 第26回(1951年下半期) 第27回(1952年上半期) 第28回(1952年下半期) 第29回(1953年上半期) 第30回(1953年下半期) 第31回(1954年上半期) 第32回(1954年下半期) 第33回(1955年上半期) 第34回(1955年下半期) 第35回(1956年上半期) 第36回(1956年下半期) 第37回(1957年上半期) 第38回(1957年下半期) 第39回(1958年上半期) 第40回(1958年…
]新潮社の夏の文庫フェアの小冊子「新潮文庫の100冊 2012」で紹介されていた本の一覧。 冊子自体はすでに処分してしまっていて、自分の覚書メモの写しなので誤字や抜けなどのミスがあるかもしれません。
]新潮社の夏の文庫フェアの小冊子「新潮文庫の100冊 2011」で紹介されていた本の一覧。 冊子自体はすでに処分してしまっていて、自分の覚書メモの写しなので誤字や抜けなどのミスがあるかもしれません。
]新潮社の夏の文庫フェアの小冊子「新潮文庫の100冊 2010」で紹介されていた本の一覧。 冊子自体はすでに処分してしまっていて、自分の覚書メモの写しなので誤字や抜けなどのミスがあるかもしれません。
花火大会中盤、仕掛け花火が稼働する。 開場に意味ありげにたっていたポール。 あれが仕掛け花火になっていて 正面から見ると富士山に見えるらしい。 しかしやっぱり角度が悪く富士山には見えない。 この煙と風では正面でも富士山に見えたかどうか EOS 5D Mark III+EF24-105mm F4L IS USM(67mm) SS5.1 F11 ISO200 一方、上に上がった赤い花火はナイアガラだろうか… 花火のコストが上がっているので 花火大会が中止になるところも増えているようだ。 毎日のように上がっていたディズニーランドの花火も見なくなって久しい。 これもウクライナ戦争の影響だろう。 とは言…
山内譲著「瀬戸内の海賊・村上武吉の戦い」講談社刊 を読み終えた。 古代から現代に至るまで瀬戸内海は交通の幹線であり続けているが、この地域に海賊と呼ばれた集団が種々存在したことは広く知られる。 なかでも中世や戦国時代を通じ瀬戸内海に君臨した村上海賊は有名で、小説の題材にもよく取りあげられ最近でも作家・和田竜氏の「村上海賊の娘」は本屋大賞も受賞した力作である。 この本は小説世界を脱し文献史料をもとに学術的に海賊の実態に迫ろうとするもので、その方法として戦国時代の村上海賊の頭領の一人・村上武吉に焦点を当てその動向を解明していく。 ちなみに著者は中世瀬戸内海地域史の専門家である。 村上海賊はよく三島(…
・ ・ ・ 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 中国共産党は、反日愛国の為に記念日を制定し、子供達に仇日洗脳教育を施している。 ・ ・ ・ 2024年9月27日 YAHOO!JAPANニュース 新潮社 フォーサイト「深圳・男児刺殺事件と「日付」のタブー――日本人が気付いていない現代中国の歴史感覚 今年9月18日、中国広東省深圳市で日本人学校に通う10歳の男児が男に刺されて命を落とす痛ましい事件があった。発生したこの日は満洲事変の記念日で、中国政府側の説明はなされていないものの中国国内の反日感情が関係していた可能性が高い。奇しくも…
清水 僕もいくらか農村調査はやってきましたけど、確かに今はもう日本の農村に行っても、戦前の暮らしが垣間見えればいい方で、とても前近代は体感できないんですよね。だから、これから前近代史研究を志す人は世界の辺境に行ってみた方がいいのかもしれません。学ぶところがきっと多いんじゃないかと思います。高野 辺境を知ろうとするときに歴史が役に立つみたいに、歴史を考えるときに辺境での見聞が役に立つということですか。清水 中世史の研究者も、古文書だけから理論を立ち上げているわけではまったくなくて。そうでもしないと、想像もつかない世界のことを叙述するのはたぶん無理なんで。(高野秀行、清水克行『世界の辺境とハードボ…
毎年、夏になってみると、終戦、原爆、帰還兵などさまざまな戦時中の画像が流される。亡き母は戦時中、女学高生としてゼロ戦組み立て工場に動員された経験を持つ。そのとき打った主翼のリベットの中を覗くと竹ひごで編まれた中身が見えたという。その時母は「この戦争は負けるわ!」と確信したそうだ。 さて、どうも「神風特別攻撃隊」のことが気になって仕方がない。画像や置手紙(遺書)を見るだけで涙がでてくる。「御お許しください、見事に敵艦に向って散って、お国のためにこの身を捧げます。私は散ったあとは御傍にいながら靖国に眠ります。」といって、母が見守る上空を旋回しながら翼を振ったのが別れのご挨拶だった。 そんなことを思…
『論語』の一節が目に留まった。 「士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し。仁以て己が任と為す。また重からずや。死して後已む。また遠からずや」(「論語」泰伯第八07」、曾子白)) 論語 (岩波文庫) 作者:金谷 治 岩波書店 Amazon 城山三郎『落日燃ゆ』の主人公の名前が広田弘毅(1878-1948年)だ。 広田は福岡市出身。東京帝国大学法科卒業後、外務省に入省。1923年、欧米局長。オランダ公使、ソ連大使、外務大臣などを歴任。1936年の2・26事件後の組閣で首相に就任する。翌年1月に総辞職。第1次近衛内閣で外相に就任。戦後、極東裁判ではA級戦犯として起訴された人の中でただ一人の文…