アイヌ民族の研究をめぐり、日本人類学会などが先住民族の権利尊重に基づく研究倫理指針の最終案を公表した。盗掘や遺族の同意を得ていない遺骨の利用を禁じることなどを明記。人権意識を欠く研究姿勢を見直す取り組みだが、最終案には過去の経緯についての「謝罪」などは盛り込まれず、アイヌ民族側からは修正を求める声も相次いでいる。 アイヌ民族と遺骨問題 先住民族が遺骨返還を求める権利を記した「先住民族の権利に関する国連宣言」が2007年に採択され、日本も批准。19年にアイヌ民族を初めて日本の先住民族と明記したアイヌ施策推進法が成立した。国の13~19年の調査では、12大学と18博物館などに計1800体以上の遺骨…