僕がショートショートと呼ばれる星新一の作品を初めて読んだのは、小学5年の頃だった。この時10歳だったので、55年以上前の話になる。実は、この時に読んだ『黒い光』と『ふしぎな夢』の2作(とりわけ前者)をその後断続的に現在まで読み続けている。本書には他にも作品が何篇か収録されているが、この2作以外は、一度読んだ切りで、読み返そうという気にはならない。多分、あまりにも簡単に異星人が登場することに対して疑問(と言うか、違和感)を持ったのかも知れない。 ところで、前にも書いたが、若い頃に読んで、その後断続的に繰返し読んでいる作品は他にもある。バーナード・マラマッドの『夏の読書』(「マラマッド短編集」所収…