BGM: The Smiths "Meat is Murder"今日は遅番だった。朝、多和田葉子『カタコトのうわごと』を読む。彼女の佇まいをどう表現したらいいのだろう。私は彼女の姿勢を「頭脳派」だと思っていた。日本語とドイツ語で縦横無尽かつスマートに表現を行える、知的なセンスに恵まれた書き手なのだと。だが、このエッセイ集を読んでいると彼女は二か国語を駆使する中で言葉の孕む矛盾に全身で戸惑い、そしてその矛盾の生み出すカオスを生きようとしていることが伺える。いわば「肉体派」……と書いてみて、この言葉が妙にエロティックに感じられるので造語で「身体派」と表現したくなった。マラルメだっただろうか、「肉は…